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さらば懐かしい日々
第二章
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「今ロッテと近鉄の試合してたんたぞ」
「ああ、パリーグまだ試合あるんだな」
「今日で最後だ、それで近鉄が優勝かけて試合してたんだけれどな」
「終わったんだな」
「凄い試合でずっと実況してたけれどな」 
「そうだったんだな」
「本当に凄い試合だった、それが川崎でやってたんだ」
 こう息子に話した。
「それがあまりにも凄くてな」
「ずっと試合放送してたんだな」
「ダブルヘッダーの第一試合からな」
「あのボロボロの球場でか」
 昴は信じられないといった顔で言った。
「そうだったんだな」
「ああ、子供の頃よく連れて行っただろ」
「本当にボロボロだったよな」
「あの時でな、便所は男女共用でな」
 昔はこうしたトイレもあったのだ。
「しかも汲み取りで客席も椅子が悪くてな」
「それでじめじめしてたな」
「湿気も酷かったな」
「ああ、それでものが壊れたらな」
 球場のそれがだ。
「代わりがなかったんだよ」
「本当に酷いな」
「金がないんだろうな」
「今もかよ」
「ああ、そんな球場でな」
「凄い試合していたんだな」
「そうだったんだよ」
 こう息子に話した。
「さっきまでな」
「嘘みたいだな」
「それが嘘じゃなかったんだ」
「そうか、しかしあの球場何時まで使えるんだろうな」
 昴は着替えつつ言った、白いシャツとトランクスから部屋着になってそうしてから夕食を食べはじめた。
「俺達の時でボロボロだったからな」
「今はもっと酷いだろうな」
「よくそれで使えるな」
「もうギリギリだろうな」
「ロッテも使いたくないだろうな」
 本拠地にしているチームにしてもというのだ。
「本当にな」
「そうだろうな、やっぱり」
 父も否定しなかった。
「あそこは本当にボロボロだからな」
「そうだよな」
「ああ、けれどその球場でな」
「凄い試合をやってたんだな」
「そうだったんだよ」
「そうか、何かそんな話してるとまた一回行ってみたくなったな」
 昴はふとこうも思った、そのうえで夕食を食べた。夕食は約餃子と中華風のスープ、ザーサイにご飯であった。
 昴は次の年自分だけでロッテの試合があったので川崎球場に行った、するとその球場は予想以上に酷かった。
 それで一緒に来てくれた友人に言った。
「俺が子供の時に来た時よりもな」
「酷いんだな」
「ああ、よく使えるな」
 友人に眉を顰めさせて話した。
「こんなところ」
「俺ヤクルトファンだから基本神宮だけれどな」
 友人は彼に答えた。
「神宮はな」
「こんなに酷くないな」
「ずっと奇麗だぞ」
「そうだよな」
「それで東京ドームなんてな」
 それこそというのだ。
「もうな」
「ピカピカだよな」
「こんな球場って言ってもいいぞ」

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