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障害に勝つ猫達
第三章

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「本当に宜しいですか」
「ええ、是非ね」
「僕達に家族にさせてくれるかな」
「それでは」
「名前はジャスミンがいいわね」
 サンドラはもうそうした話に移った。
「この娘は」
「そうだね」
「そんな感じだから」
「うん、その名前にしよう」
「感謝します、そして嬉しいです」
 所長はその猫をジャスミンと名付け笑顔で迎える夫婦に心からこう言った。
「その娘を家族に迎えてくれて」
「目が見えないのにかい?」
「はい、本当に」
「実は僕の親戚で同じ人がいるんだ」
 夫が所長に答えた。
「実はね」
「目が見えない人がおられますか」
「そうなんだ、その人も必死に生きているよ」
 目が見えずともというのだ。
「その人を知っているからね」
「だからですか」
「目が見えなくてもね」
「いいんですね」
「生きているのなら」 
 所長に笑顔で話した。
「いいよ、じゃあジャスミン行こうか」
「ニャア」
 ジャスミンも応えた、そしてだった。
 彼女は心ある家族に迎えられ彼等の家に入った、一家からセンターに定期的にメールが来たが家族と遊ぶジャスミンはいつも幸せそうだった。
 それでだ、所長はスタッフ達に話した。
「彼等はいい人達に巡り合えたよ」
「全くですね」
「心ある人達に」
「そうなれましたね」
「障害があっても笑顔で受け入れて一緒に暮らしてくれる」
 そうしたというのだ。
「心ある人が増えて欲しいね」
「全くですね」
「これから」
「ああした人達が増えて欲しいですね」
「世の中に」
「障害が問題じゃないんだ」
 所長はこうも言った。
「問題なのは心だよ」
「障害を卑しむ心ですね」
「ハンデを」
「その心こそね」
「そうした心がない人が増えることを願うよ」
 心からとだ、こう言ってだった。
 所長はスタッフ達と一緒にメールで送られてきているバビーやジャスミン達の姿を見た、障害がある彼等はそんなものをものともせず幸せに過ごしていた。


障害に勝つ猫達   完


                2021・6・25
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