暁 〜小説投稿サイト〜
ずっと一緒の犬と猫
第二章

[8]前話
「今日もだな」
「来ているわね」
「本当に毎日来ているんだな」
「グレイシーがいないのにね」
「そこまで好きなんだな」
「そうね、グレイシーにとってあの子は一番の友達だけれど」 
 妻は夫に話した。
「あの子にとってもね」
「グレイシーは一番の友達なんだな」
「だからね」 
 その為にというのだ。
「ああしてね」
「グレイシーがいなくてもか」
「いない間でも」
「毎日来るんだな」
「猫の人の言葉がわかるから」
 そう聞いているからだというのだ。
「お話をしているけれど」
「グレイシーは暫くいないことをか」
「何時帰って来るかもね」
 このこともというのだ。
「そうしていたけれど」
「それでもだな」
「毎日来るの。やっぱり仲がいいから」
「色々思うところがあってか」
「来てるみたい」
「そうか、じゃあその間はおやつを出すが」
「もう出してるわ」
 妻は夫に笑顔で答えた。
「もうすぐしたらグレイシーも退院するし」
「今は一匹だけで食べていてもな」
「また二匹で食べられるわ」
 笑顔でこう話した、そしてだった。
 夫婦も子供達もグレイシーの退院を待ち望んだ、その間もベビー=グレーは毎日家の庭に来た。そうして。
 グレイシーが退院して家に帰って来ると。
「ニャンニャン!」
「ワン!」
 二匹はお互いに庭の中で駆け寄って。
 すぐにお互いの身体を摺り寄せ合った。グレイシーは尻尾をパタパタと振ってベビー=グレーは喉をゴロゴロと鳴らした。
 そうして二匹で遊んでおやつを食べて日向ぼっこをした。シアはそんな彼等に笑顔でこう声をかけた。
「これからまた一緒よ。よかったわね」
「ワン」
「ニャア」
 二匹は彼女に目を細めさせて鳴いて応えた、そしてこの日一緒の時間を楽しんで次の日もまた次の日もだった。
 彼等は毎日同じ時間を過ごしていった、そうして。
 一家はそんな彼等を見て笑顔になった、二匹の絆を見て自然にそうなった。それがこれ以上はないまでに素晴らしいものだったので。


ずっと一緒の犬と猫   完


                   2021・6・18
[8]前話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ