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幻の旋律
第九話 加速する臨場
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木村警部は、一連の事件を追いながら頭の中は混乱に陥っていた。

「親父が二〇年前に掴んだ「橋げた落下事故」の情報とは・・
あのサングラスの男の正体とは・・
あのジャーナリストめ!俺に連絡すらもしてこない・・・」

県警本部は「大規模麻薬輸送事件」に関して解決と見なしていた。それは、首謀者である佐々木次郎と、凶悪な殺し屋である滝沢馬琴が逮捕されたからである。彼はこの一連の事件で福岡県警最年少の警部となったが、二〇年前の時効事件を追っていた木村警部に対し、大牟田署の警官達は距離を置いていたのだ。本来の任務も果たさず休暇を取りまくり単独で捜査をしていた事に対し、県警本部でも問題となっていた。そんなある日、警視正は木村警部を呼び出し言った。

「君は過去の事件にこだわりすぎだ・・
かつて麻薬捜査官であった父に対する供養もつもりであろうが・・
あの事件は・・もうすでに時効なんだよ・・」
警視正は静かに言った。
「確かにそうであります・・しかし・・」
木村警部は反発的な態度に出た。
「木村警部!もういいこの件は忘れろ!
私は、君を高く評価しすぎた・・君の、一連の捜査状況を見て極めて大胆な行動を評価し警部まで出世させた。しかし今の勤務態度では今後の出世は見込めない!君は警視にり大牟田署の署長になりたいのだろ??」
「・・・・・」
木村警部の表情が変わった。
「だったら、私に従いなさい・・」
「はい!」
木村警部は敬礼した。そして、警視正は言った。
「君は、来年度の春より、ソウルで主催される「世界刑法ツアー」に参加し、各国の警察のありかたについて勉強してきなさい!もちろん君は福岡県警代表だ!ハハハハハ
だから過去の捜査から手を引き、大至急、参加準備に取りかかりなさい!」
木村警部は敬礼し部屋を出た。

孤独な木村警部は今夜も一人で大牟田の繁華街に出かけた。
「ふざけやがって、あの警視正め!・・春からだと・・
ならば、この事件を早く解決しなくては・・もう、俺にも時間がないぜ・・」
逆にこの警視正の命令は木村警部を焦らせてしまった。

「なあ・・美香・・このサングラスの男がどうも気になる・・
今この男と連絡取れないか・・」
「無理だわ・・・」
「名前も知らないのか・・全く、どいつもこいつも・・」
しばらく無言のまま飲んでいたところ、電話が鳴った。
例のジャーナリストからだ。
「俺だ・・」
「何!・・本当か!」
木村警部は興奮し、写真台長からある写真を取りだした。
二人はしばらく話して電話を切った。
美香はそれをじっと聞いていた。
「ちょっと・・お願いがある・・」
「何だよ!・・俺は忙しいんだよ!じゃーな!」
「待って!」
美香は、木村警部の裾を掴んだ。
「・・・・」
「電話で話していたそ
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