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幻の旋律
第二話 闇の世界へ
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第二話 〜 闇の世界へ 〜

ここは有明沿岸道路、第七工事現場である。崖の上から男は厳しい表情で下をのぞいていた。その男とは金竜組組長、平賀源内である。その崖は、一級河川である中島川と有明海の合流場所にある。

「この河川に巨大鉄橋を渡さなけれは、有明沿岸道路は完成できない。この工事は我が有明工業創立以来の大事業だ!」

そこは海面から、約120メートル、河幅、約300メートルである。なぜかここ数年この地点での自然現象は特異であり、何度も工事を試みたが、突風、荒波により崩壊してきた。その度に莫大な予算を使ってきたのだ。河川の向こう岸まで、無数のロープが張られてるだけである。

「おい!骨部さえもまだ通らないのか・・」
「はい・・海から川の合流地点には、極めて波が荒れています。おまけに風も強い・・
この大自然が怒っているに違いない!やはりこの場所は呪われているのです!」
「馬鹿野郎!自然の力に負けてするんだよ!お前らは一流の技術者なんだろ!」

「かつてこの崖の下で多数の人が死んでいる。
この崖はやはり、呪われているのか?
爺さん教えてくれ・・・」

第七工事現場以外は、順調に道路が舗装されつつあった。
金竜組は、この時代には大変珍しい体質のヤクザであった。この組の事業の大部分は土木事業であった。彼は有明工業株式会社の社長である。この不景気により、土建業は衰退しつつあり、多くの組は、麻薬に手を染め、短期間で莫大な収入を得ていた。それをしない金竜組みは正当派のヤクザと言えよう。この地区を納める二大組織ともいえよう。もう一つは、銀竜組である。

一台の車が迎えにきた。日産の最高級車プレジデントである。
「オス!組長迎えに来ました。」
やがて車は走り出した。
「いつのも喫茶店にいけ・・会議だ!」

「待鳥先生、今日も帰りのHR頼む・・・」
幸代は、ため息をついた。
「クラスをほったらかして。」
幸代は賢治に副担任である。
教育に絶望を感じていた賢治は、学校を早退しまくり、自分の時間を楽しんでいた。
しかし、学校側としては、就業規則には反していないため解雇できないのである。

「お!この喫茶店、何だか渋いな・・」
車を止め、入口に向かった。
「あれ、今さっき店に入ったあのカップルなぜ、出ていくんだ・・・」
「なぜだ・・まあいい・・」
賢治は何も気にせず扉を開けた。
「げ!・・ヤクザだ・・・」
店内はヤクザが六人で貸し切られており、全員賢治を睨んでいる。
「げ・・なんということだ・・」
一瞬時間が止まった。
「どうする?たとえヤクザであろうが、ここは公共の場だ、このまま扉を閉めて出て行くのも逆に失礼だ。」
賢治は自分に言い聞かせた。普通の人であれば、その場の空気を読み、迷いなく出ていくで
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