第1楽章〜奇跡の殺戮者〜
プロローグ「相克」
[1/4]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
硬質的な衝撃音が、広間にこだまする。
パイプオルガンのような装飾を施された玉座を中心に、大小数多の歯車が入り乱れ、まるでこの部屋そのものが巨大な舞台装置であるかのような建築物。
機械仕掛けの奇妙な城。その広間と、そして廊下でぶつかり合う人影が四組。
爆発音が。金属音が。或いは水晶のような物が砕ける音が……ダンスホールを賑わせる舞曲の代わりに鳴り響いていた。
「ったくイラつくぜぇッ!相っ変わらずウザってぇ技使いやがってよぉッ!このゲス女ッ!!」
「イヤですねぇ。その言葉、鏡に向かってもう一回言ってくれません?そっくりそのまま返ってきますよ〜」
「あーうっぜぇ!マジうぜぇ!テメェやっぱブッ殺すッ!!」
氷の刃をぶつけ合いながら互いを罵り合う、青い服の男女。
「考え直してはもらえないのですね……」
「何度も言っておりますわ。わたくしの意志はマスターと共にあるのです。変わる事など有り得ませんの」
「くっ……。私は……貴女を斬るしかないと言うのかッ!」
「それ以外に道はありませんのッ!」
円舞するように互いの剣をぶつけ合う、緑の服の男女。
「世界を壊して何になるってんだ?壊しちまったら、後に何も残らねぇじゃねぇかッ!」
「全てマスターが望んだ事だ。我々はそれに従うのみ。そこに意味など求める事こそ、我らにとっては不要ッ!」
「ハッ……真面目だよなぁ、お前はいつもッ!」
黄色い服に身を包んだ、金貨を銃弾のように放つ女と、瓦礫を盾や槌のように振るう男。
そして玉座の前では一人の男が、玉座の側に立つ少女に語りかけていた。
「考え直すんだ。今ならまだ間に合う」
「断るッ!これは、オレの命題だッ!他の誰にも……例えそれが師である貴様でも、妨げるなら殺すッ!」
「命題と復讐を履き違えるなと言っているんだ。我が友は……君の父親は、こんな事を望む男ではないッ!それは他の誰よりもお前が──」
「その名を口に出すなッ!!」
宙に浮かんだ魔法陣より放たれる竜巻、火炎、鋭い氷柱。
しかし男は短剣を一振りするだけで、それら全てを一瞬にして打ち消す。
少女の格好は、複雑な模様が刺繍されたローブに、黒いとんがり帽子……まるで魔女のような出で立ちだ。
対する男は、黄金の刺繍が施された赤いロングコートを身に纏い、俗世離れした雰囲気を漂わせている。長い黒髪が爆風に靡いていた。
「チッ……相変わらず厄介な術式だ。だがッ!」
少女が更なる魔法陣を展開する。
男の四方を、四色の陣が取り囲んだ。
「消し飛べッ!!」
四方から同時に放たれる火炎、激流、稲妻、そして重力を揺さぶる衝撃。
いずれも必殺級。
生身の人間が受ければ、後には無惨な亡骸のみが残るだろう。
舞い
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ