暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第83話:悪夢の芽吹き
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命の危機に晒されている。その事実に奏は心に深い影を落としていた。
「これじゃあアタシ……ただの疫病神じゃないか――――!?」
無力どころか厄介者でしかない自分の存在に、奏は強い自己嫌悪に陥り浴室の壁を思いっきり殴り付けた。
浴室に響くシャワーの音。その音に、奏のすすり泣く声が混じるがそれを聞く者は彼女以外に誰も居なかった。
***
一方、カ・ディンギル址地では1人の白いコートを着た男性が息も絶え絶えになりながら歩いていた。ウェル博士である。響から逃げ、一晩中逃げ続けていたウェル博士は、ソロモンの杖を支えに覚束ない足取りで歩いていた。
当ても無く逃げ回った所為でソーサラーとも完全に逸れ、逃げ続けた結果何時の間にか元居た場所に戻ってきていた。
その姿はみすぼらしいの一言であり、先日までの威厳など何処にもない。
挙句の果てには斜面で足を滑らせ転げ落ちた。
「はッ!? わぁぁぁぁぁぁぁッ!?」
間抜けな悲鳴を上げながら転がり落ちたウェル博士は、それでも大きな怪我も無かったのでよろよろと力無く立ち上がり、落ちる途中で落としたソロモンの杖を拾おうと手を伸ばした。
その時、彼の視界にある物が映った。
「ああッ! これは――!!」
そこにあったのは昨夜の戦闘で暴走した響により引き抜かれた、ネフィリムの心臓だった。体から引き抜かれて尚、不気味に赤く点滅するそれを見てウェル博士の顔に狂ったような笑みが浮かぶ。
「ひひ、きひひひ――! こんなところにあったのかぁ……。ネフィリムの、心臓ッ!! ひひ、これさえあれば、英雄だぁ――!!」
ネフィリムの心臓を左手に抱え、右手でソロモンの杖を改めて拾い上げ握り直した。
そしてウェル博士は再びその場を歩き出す。
狂気はまだ、終わってはいなかった。
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