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リュカ伝の外伝
解ってはいるけど止められない事もある
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。ここ(国王執務室)に来る直前に聞いたのに、リュカさんの署名を待つ間、頭の中で唱えてしまうほどの魔力を持ってるのです」
「え、凄くね!? そうやって信者を増やしていったんじゃ……因みに如何(どん)な念仏なの?」

「はい……気を付けて聞いて下さい。確か“スイスイ スーダララッタ”と……そんな感じの念仏です」
「……………」

「……? リュカさん……何か思い当たる節でも?」
「ウルフ済まん。その宗教の教祖……僕だ」

「……はい?」
「いや違うの、聞いて!」
いや“聞いて”と言われても、理解が追い付かないのだが?

「その念仏ね、歌なの。『スーダラ節』って歌なのさ!」
「歌?」

「うん、そう。別に宗教団体を立ち上げた訳じゃ無くて、バイト中に思わず口遊んでた歌のなのさ。因みにこういう歌!」
そう言ってリュカさんは何時もの美声を披露してくれた。





「迷惑!!」
「そ、そう言われても……広める意図は無かったけど、名曲過ぎて聞いた人たちがあちこちで歌っちゃてるんだもん」



かくして俺の不安は杞憂に変わり、腹立ちながらも自分の執務室へ帰る途次(みちすがら)(くだん)のスーダラ節を口遊んでいた。
執務室内に入り、先程の部下等に「済まん。如何(どう)やらお前等の言う通り宗教じゃなかったわ」と詫びて席に着く。

席に着くと直ぐにユニさんが話しかけてきた。
「元凶はリュカ様でしたでしょ」
え、何で知ってんの!?

「ユニさん初めから知ってたのか?」
「知ってましたよ。以前リュカ様が歌ってるのを見た事がありますから」

「じゃぁ何で最初に教えてくれなかったんだよ!?」
「教えるも何も、リュカ様の歌だから閣下も知ってると思ってましたし、先程も部下等を詰問するや否や凄い早さでリュカ様の下へ行ってしまい、話す機会も与えられませんでしたから……まぁ勿論、直ぐに知るだろうと思って後を追わなかったですけどね」

な、何だよ……俺一人で慌ててただけかよ!
「そう落ち込まないで下さい閣下。部下としてはリュカ様の下に行く前に伝えるべきだったのですが、落ち込んだ上司を見たいという欲求には勝てませんでした。これこそ『わかっちゃいるけど止められない』のです(笑)」

ウルフSIDE END





スーダラ節(リュカさんバージョン)

♪ちょいと一回のつもりで抱いて?
♪いつの間にやら愛人増えて?
♪気が付きゃ子供が沢山産まれ?
♪それで息子に軽蔑された?
♪わかっちゃいるけど止められねぇ?

♪ア ソーレ スイスイ スーダララッタ?
♪スラスラ スイスイスイー?
♪スイーダ スーダララッタ?
♪スラスラ スイスイスイー?
♪スイスイ スーダララ
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