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車に轢かれた猫達の幸せ
第二章

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「そうか、じゃあな」
「若しその子が助かったら家族にしよう」
「その子もな」
「その時はね」
「折角助けた命だから」
 それでとだ、ダイアナは二人に応えた。
「それならね」
「うん、この子と同じだね」
 リチャードはサウロを見つつ言った。
「その時は」
「家族に迎えてね」
「一緒に楽しく過ごそう、ただ」
「ええ、大怪我だったから」
「果たしてどうなるか」
「神様のご加護と」
 それにというのだ。
「あの子の頑張り次第ね」
「そういうことだな」
「ええ、本当にね」 
 まさにというのだ、そしてだった。
 一家は猫の回復を毎日祈った、その祈りが通じたのか。
 十日後獣医から連絡があった、その連絡は。
「目を開いたんですか」
「はい、もう大丈夫です」
 電話の向こうの獣医の返事の明るかった。
「これで」
「そうですか、それじゃあ」
「後は退院出来ましたら」
「その時はですね」
「また連絡させてもらいます」 
 こうした連絡が来た、ダイアナはすぐに家族に話すと夫も息子も喜んだ。そうして猫が退院すると。
 猫にベニーと名付けて家に迎え入れた、ベニーには怪我の後遺症はなく家に入るとすぐに明るく跳び回った。
 そしてだ、そのうえでだった。
「ニャ〜〜〜」
「ニャオン」
「ミャウン」
 早速エデン、サウロと仲良くなった。そこから三匹はいつも一緒にいる様になった。リチャードはその三匹を見てダイアナに言った。
「怪我をしていても」
「諦めたら駄目ね」
「助かるかも知れないし」
「助かったらね」
 その時はとだ、ダイアナはリチャードに応えた。
「こうして幸せになれるわ」
「そうだね、サウロとベニーを助けてよかったよ」
「本当にそうね」
「お陰で僕達は家族が増えた」
「幸せが訪れてきたわ」
「命を助けて幸せを得た」
「本当によかったわ」
 笑顔で話した、そしてだった。
 一家はその三匹の猫達を囲んで幸せに暮らした、ロンドンでの話である。一人でも多くの人がこの話を知ってくれれば幸いである。


車に轢かれた猫達の幸せ   完


                   2021・5・17
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