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おぢばにおかえり
第六十四話 阿波野君と先輩その七

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「だからね」
「その人もうおみちには戻らないですか」
「絶対にないと思うわ」
「そうですか」
「だって卒業した時に卒業証書破り捨てて」
 それでというのです。
「おさづけの時に着たおつとめ着も詰所に返したらしいから」
「それはもう」
「絶縁でしょ」
「そう言うのと同じですね」
「おさづけの他のものも全部ね」
「返したんですか」
「それで高校三年間のこと詰所で全部言って」
 また極端だと思いました、阿波野君が怒ったらそうしそうとも思いました。
「二度と天理教の教会にもおぢばにも来ないって言って」
「本当にですか」
「絶縁したらしいから」
「そうですか」
「私そのお話卒業してすぐに聞いて」
 先輩の声はこれまで以上に沈んだものになっていました。
「あらためて取り返しのつかないことをしたってわかったの」
「それは」
 私も言葉がありませんでした、その人がそこまで傷付いてそうしておみちを徹底的に嫌う様になったと聞いて。
 それで言葉を失っているとでした。先輩は言ってきました。
「ちっちの後輩の子にもね」
「このことをお話されますか」
「ええ、そうするわ」
「あの、それは」
 幾ら何でもと思って先輩に言いました。
「止められた方が」
「いいっていうのね」
「阿波野君にそんなこと言ったら」
 それこそです。
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