第千二百一話 河豚について
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第千二百一話 河豚について
伊藤さんは日清戦争の講和のお話をする為に下関に赴きました、そこであるお店で白身のとても美味しいお魚をいただきました。
「これは美味い」
「これは河豚ですが」
旅館の人が伊藤さんに申し訳なさそうに言いました。
「宜しいですか」
「そうそう、こっちではこの魚食うんだよ」
伊藤さんは笑って言いました。
「あとは大坂でも」
「ですが毒があるので」
「武士は食べなかったんだよ」
伊藤さんは農民の出ですがお父さんが養子に入って武士になっています。それで食べていなかったのです。
「そうだったんだよ」
「あの、毒のことは」
「ちゃんと毒のあるところを取り除いていたらよし」
笑ってのお言葉でした。
「何も問題なしだよ」
「そうですか」
「というかこんな美味いもの禁じるなんてよくない」
ほっとする旅館の人にこうも言いました。
「河豚食べていいな」
「えっ、いいんですか」
こうして河豚を食べられる様になりました、伊藤さんがそのはじまりの人だったのです。
第千二百一話 完
2021・5・4
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