暁 〜小説投稿サイト〜
天才少女と元プロのおじさん
23話 駄目だよ
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
先にいる正美は精悍な顔付きでグラウンドを見つめる。

「詠深ちゃんは芳乃ちゃんの指示で敬遠してるんだよ。なら、芳乃ちゃんだけは絶対に目を逸らしちゃ駄目」

 正美の言葉を受け、芳乃もグラウンドに顔を向けた。ただ、その表情は今にも泣き出してしまいそうである。

「芳乃ちゃん!」

 そんな芳乃に、マウンドの詠深が安心させるように笑みを送った。

 ピンチは続き、迎えるは初回にタイムリーを放った5番。

 ブーイングが止まぬ中、詠深は一打席目と同じくナックルスライダー2球で追い込む。

 珠姫は頭の中で配球を廻らす。

――第一打席はこの後の内角直球を打たれたけど、ここはあえて同じ攻めていく。ただし、強ストレート(・・・・・・)。ここで使おう。






 一回戦翌日の事。

「出番〜先発〜やっと投げられる〜♪」

 詠深は影森戦でマウンドに立つことが出来ず、鬱憤が溜まっていたのだろう。二日後の梁幽館戦の先発を前にし、ご機嫌に即興曲を歌っていた。

「??????変な曲。早くマウンド行ったら?」

 詠深の側でプロテクターを着けていた珠姫は、そんな詠深を冷たくあしらう。

「最近タマちゃんと疎遠だったし、もう手放したくない」
「は?」
「18.44mも離れたくないよ〜」

 そう言って、詠深は珠姫に抱き付いた。

「くっつかないで!暑い!??????ほら、行くよ!」
「待ってよ〜」

 珠姫と詠深はそれぞれホームとマウンドへ向かう。

「来い!直球!」

 珠姫はしゃがんでストレートを要求した。

「あ?」

 そんな珠姫に詠深は疑問符を浮かべる。何故なら、珠姫は詠深から18.44mどころか、更にその奥にしゃがんでいたからだ。

「と、遠くない?もしかして引いた?」

 先程抱き付いたことで珠姫に避けられているのではないかと、詠深は不安になる。

「いつもと変わらないパワーで、でもちゃんと届くように投げてみて」

 そんな詠深を余所に、珠姫はいつもと変わらず詠深に指示を出した。

 詠深は珠姫の要求通りに直球を投げる。

「オッケー!誰か打席に!次は何時もの18.44m。今投げたのと同じ様に投げてみて」

 打席には正美が立ち、詠深は奥へ投げたのと同じ様に直球を放った。

「速くはないけど、ボールの伸びが段違いだね。凄く良いストレートだよ!」

 正美は今の直球をそう評する。

――本人は普段手を抜いてる自覚はないだろうけど、あれだけの変化球を投げながら直球がショボいわけないんだよ。自由に引き出せれば武器になるけど、一気にやろうとすれば崩しかねないからね。自然に少しずつ引き出して上げる。






 B0
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ