暁 〜小説投稿サイト〜
天才少女と元プロのおじさん
夏大会3回戦 梁幽館高校
19話 それがとっても尊いの!!
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 新越谷高校 対 梁幽館高校の試合は、開会式が行われた埼玉県営大宮公園野球場で行われる。集合時間より早めに到着していた正美は一足先にウォーミングアップを始めていた。
 公園のジョギングコースを、池を左手に見ながらゆっくりと周る。緊張はない。正美はいつも通り余計な力が入る事なく、一周約1,100mを走った。

 準備体操などは集合場所の辺りで行おうと、正美は野球場へ向かって歩く。アカマツの林を歩いていると、途中に建つ時計塔に目をやった。集合時間にはまだ時間がある。

 このまま直進すれば野球場に着くのだが、正美は時計塔の広場を左に曲がった。子供用の遊園地を抜けてたどり着いたのは小さな動物園。

 正美は動物達に軽く目をやりながら歩いていると、一つの檻の前で足を止める。

 正美は中の動物を見つめると、うっとりとした目に変わり、幸せそうな表情を浮かべていた。

 檻にいるのはハリネズミ。正美は以前、ここで行われた動物とのふれあいイベントでハリネズミを触って以来、心を鷲掴みにされているのだ。

 このまま暫く見ていたいと正美は思うが、適当な所で切り上げてウォーミングアップの続きをしなくてはならない。後ろ髪を引かれる思いでハリネズミの檻を後にした正美は再び野球場へと向け歩きだした。

 野球場と動物園は隣接しており、程なくして正美は試合会場に到着する。集合場所には川口姉妹、菫、稜の四人が居た。

 一同、挨拶を交わすと、稜は正美が何やら機嫌が良いことに気付く。

「正美なにか良いことあった?いつも以上に顔だらしないじゃん」
「むむっ??????いつも以上にって、まるで私がいつもだらしない顔してるみたいじゃん」

 稜の物言いに正美が抗議する。

「いつも顔が締まってないのは事実だろ?」
「なにをっ??????」

 正美が目を逆三角に吊り上げた。

「まあまあ。それで、何があったの?」

 仲裁に入った息吹が正美に尋ねる。正美は時間に余裕があったから動物園でハリネズミを見ていた事を話した。

「へ〜。ハリネズミってそんな可愛いの?」

 その息吹の発言で正美の中でスイッチが入る。息吹に詰め寄る正美の顔はキラキラと輝いていた。

「そりゃーもう!!丸い体に愛嬌のある顔!ハリネズミってとっても警戒心が強くて、なかなか人に慣れないんだけど、抱っこしても針を立たせなかった時、受け入れられたって感じがして、それがとっても尊いの!!」
「そ、そうなんだ??????」

 まくし立てる正美に息吹は体を引き気味にしながら相槌を打つ。 

「おはよう??????何?どういう状況?」

 怜が集合場所に姿を見せた。正美と息吹を見て首を傾げる。

「おはようございます!今、息吹ちゃんとハリネズミに
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