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MOONDREAMER:第二章〜
第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第9話 半月の塔 SIDE:R 後編
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たそれは、明らかに別物となっていたのである。
 それは、一目瞭然だろう。今回現れた足場は、先の無骨な石とはまるで違い、幾何学的な未来の産物といった機械仕掛けの物体なのであったのだから。
 その事から、察せられる事は一つだろう。鈴仙はその答えを口にする。
「これに乗って水の上を走行していけって事ですね……」
 そう、これは飛び石のような完全な足場だけの役割の物とは違い、立派な『乗り物』のようなのであった。そして、鈴仙は迷わずに決める。
「それじゃあ、早速これに乗っていかないといけませんね」
 そう言うや否や鈴仙は、早速といった風にその機械仕掛けの物体に自らの足を、そして体を預けたのである。
 だが、その機械はすぐには動き出さないようであった。当然だろう。どのような乗り物にも、絶対に『動力源』を確保しなくてはならないのだから。
 そこで、ふと鈴仙はある事に想いを馳せるのだった。それは、今では彼女の仲間にして最大の親友たる、黒銀勇美その人であった。
「確か、あの子、自分の能力の動力源の事で悩んでいた事がありましたね……」
 そして、それが依姫との出会いにより彼女の神降ろしの力を借りる事で解消された事も。
 鈴仙にとって何とも皮肉な事実であろう。鈴仙は依姫の下から去る選択肢を選んだというのに、あの子は自ら依姫の下へ寄り添う事を選んだのだから。
 そして、その事実があろうとも、自分と彼女では状況が違ったのだからと気遣ってくれ、そして自分の事を仲間と認めてくれる勇美には、鈴仙はただただ感謝するしかなかったのである。
「今頃勇美さん、うまくやっているでしょうか……?」
 そう呟きながら、鈴仙はその考えを改め直すのであった。
 ここで勇美の事を過剰に気に掛けてしまえば、勇美のためにも、自分のためにもならないだろうと。
 まず、勇美の事を信用しないという彼女への少しばかりの侮辱になるし、第一気に掛ける余りに自分が実力を発揮出来ないような事になれば本末転倒というものなのだから。
 だから、彼女は今自分に出来る事に目を向ける事にするのだった。
「本題に入って、この機械を動かす事ですね」
 そう言う彼女ではあったが、最早答えなど出ていたも同然なのであった。
 彼女は再度自分の波長を、その機械へと浴びせたのである。すると、その機械は見事と言わんばかりにブート音を上げながら起動を始めたのである。
「ビンゴ……ですね♪」
 そう鈴仙は得意気になるのであった。こうも自分の行動がスムーズに事を進めている事に爽快感を感じていたのだから。
「でも、この先は些か今まで味わった事のない内容でしょうし、気を引き締めていかないといけませんね」
 そう彼女が呟くと、改めて自分の脳内で発車のイメージを思い浮かべたのである。
 すると、機械はその意思に従うよう
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