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ツバサ -DECADE CHRoNiCLE《ディケイドクロニクル》-
第1話:二つのデアイ
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 曇天が覆う空が広がっており、その下では高層ビルが並び立つ都会の光景が浮かんでいる。
人々が行きかう大通りから離れた何処かの路上裏、人気がまったくなく薄暗い場所を一人の人物が歩く。
フードを目深に被り、ところどころに傷が見られた服装を着用した若い青年らしき人物は人目に付かない事を好んで入ったのか構わず進んでいる。

「………」

青年は何事も言葉を発せず進んでいる。目的地にはなく、ただ漠然とした感じで彷徨っているに過ぎない。
そんな彼の目の前に立ちふさがる者たちがいた……。

「目標補足、直ちに駆逐します」

「……またか、相も変わらずあきらめの悪さは折り紙付きだねえ」

『ライオトルーパー』……複数人の連隊からなる量産型の仮面ライダー達は目の前にいる男にコンバットナイフの形の武器・アクセレイガンを構える。
戦闘態勢をとった相手に対して、呆れた様子で青年はフードの奥でほくそ笑むと、一枚のカードを取り出す。
黒を基調とした仮面の戦士が描かれたライダーカードを構え、『彼』は彼らに言い放った。


「さぁ、こい。全て破壊してやる」


数分後、曇天から雨雲に代わり雨が降り始めるころ、男を取り囲んでいたライオトルーパー部隊は僅かな残骸を残して全て消え失せていた。
代わりにたった一人だけ立っていたのは、青い複眼を仮面に宿す黒い戦士だった。
黒い仮面の戦士は敵がいなくなったその場からゆっくりと離れていき、降り注ぐ雨の中へ姿は消えていった。




世界の破壊者ディケイド。
二つの出逢いを巡り、その瞳は何を見る?




前の世界での役目を終えて、次の世界へやってきた光写真館。
窓を開ければそこは近未来を思わせる建物が連なった街の光景が広がっていた。
その街並をフレームで狙いを定め、シャッターを押す一人の若い男性。

「新しい世界か。しかし、今までと違って妙なもんを感じるな」

窓から一望しながら呟くカメラを携えた茶髪の男の名は、『門矢士』。
またの名を『仮面ライダーディケイド』……いくつもの世界を掛け渡り、巨悪を打ち壊してきた仮面ライダーの一人だ。
つい先日に起きた"生まれ故郷の世界"で失った自分の過去と向き合い、いくつもの並行世界に侵略を企んでいた大ショッカーの戦いを繰り広げ勝利した。
大ショッカーが壊滅した後も、世界を巡る旅を続けている。
今回も例にもれず、次なるこの世界にやってきたのだが…。

「違うって私達が旅して来た世界とどう違うんですか?」

「さてな、何故だかそんな気がする」

何処かの違和感を感じ取る士へ、話しかける二人の仲間。
長髪の女性……『光夏海』と、青年……『小野寺ユウスケ』だ。
光写真館の主・光栄一郎の孫である光夏海は自由気ままに動く士の世話
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