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まさに恋女房
第二章

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 彼等の中では答えが出なかった、それでだ。
 相良が理恵に徹底的に惚れ込んでいる理由がわからないままだった。だが彼はいつも理恵と一緒にいてだ。
 明るい笑顔でいた、大学でもアルバイトでもそれは変わらず彼女のことを言ってそうしてであった。
 同棲しているアパートに入るといつも理恵自身にも言うのだった。
「俺本当に幸せだよ」
「私と一緒でなの」
「ああ」
 こう言うのだった。
「本当にな」
「けれど私って別に」
 理恵は彼に言葉を返した。
「これといってね」
「目立ったところないっていうんだな」
「顔はこうでね」 
 普通のものでというのだ。
「背は低いし」
「一五〇だったよな」
「小さいわよね」
「そうだよな」
 相良は何でもないという口調で答えた。
「けれどそれはな」
「どうでもいいの」
「俺はな」
「学校の成績もスポーツも普通よ」
「部活テニス部だったな」
「部活はずっとしてたけれど」
 中学そして高校とだ。
「試合に出ても普通だったし」
「それだったよな」
「うん、それにお家も」
 これもというのだ。
「ごく普通の」
「親父さんスーパーの店長さんだったな」
「それでお母さんはスポーツジムの事務員さんで」
「共働きでな」
「これといってね」
「普通だっていうんだな」
「お嬢様でもないし勿論タレントさんでもないし」
 相良に対してさらに話していった。
「有名ユーチューバーでもね」
「ないっていうんだな」
「本当に何でもないわよ」
 特別なものは一切ないというのだ。
「私って。けれど何でそんなにいつも私のことよく言うのか」
「いつも俺の面倒見てくれてるだろ」
 相良はその理恵に笑顔で言った。
「そうだろ」
「そのことを言うの」
「俺が困ってたら助けてくれて優しい言葉かけてくれてな」
「それは普通でしょ」
「いや、普通じゃないからな」
 それはとだ、相良は言葉を返した。
「全然な」
「そうなの」
「それにな」
 相良は理恵にさらに言った。
「家事凄いじゃないか」
「そのことなの」
「ああ、本当にな」
 こう言うのだった。
「理恵位家事が出来てる娘ってな」
「いないの」
「ああ」
 そうだというのだ。
「炊事洗濯お掃除刺繍何でも出来るだろ」
「だってね」 
 理恵は相良にこう返した。
「それがね」
「普通だったっていうんだな」
「お祖母ちゃんが家にいてね」 
 実家ではそうだった、理恵は実家では祖母と一緒に住んでいてそうして子供の頃から色々と教えてもらっていたのだ。
「それでね」
「教えてもらってか」
「全部ね、だからね」
 それでというのだ。
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