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寒い夜に消防署に
第一章

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                寒い夜に消防署に
カナダマニトバ州のシュタインバッハ消防署の署員達はこの夜署に集まっていた、そこで彼等は話していた。
「うちはいつも人がいる訳じゃないからな」
「そうですよね」
「何日も誰もいない時もあります」
「理想は二十四時間誰かがいることですが」
「そうもいかないですね」
「残念ですが」
「火事は起こる」
 もっと言えば起こってしまうものだ。
「だからやっぱりな」
「いつも誰かいないと」
「本当にそうですよね」
「そこは何とかしないと駄目ですね」
「州政府にも話してるけれどな」
 どうなるかはわからない、こう話していた。
 そしてその話している彼等のうちの一人がふと署のガラスの入り口を見てそのうえで同僚達に言ってきた。
「猫がいます」
「あっ、そうだな」
「一匹いるな」
「こっちに顔を向けて座ってるな」
 茶色と黒の縞模様の猫だった、腹は白い。その猫は。
 じっと自分達を見ていた、それで消防士達は話した。
「若しかして中に入りたい?」
「ひょっとして」
「そうじゃないですかね」
「だったらここに入れますか」
「この中に」
「今日は寒いし」
「しかも夜だから」 
 この上なく冷え込んでいるというのだ。
「カナダで冬で」
「そうなると猫も辛いな」
「じゃあ入れてやりましょう」
「そうしましょう」 
 こう話して扉を開けてだ、消防士達は猫に言った。
「入れよ、寒いだろ」
「ここにいていいからな」
「ゆっくりしていけ」
「ニャオン」
 猫は彼等の言葉に嬉しそうに鳴いてだった。
 署の中に入った、そうしてだった。
 その日は署の中で過ごしご飯も貰ったが。
 消防士達はその猫を見ながら話した。
「ここにずっと置いてやりたくてもな」
「うちはいつも誰かいる場所じゃないですから」
「何日も誰もいない時もありますからね」
「こいつの世話も出来ません」
「どうしても」
「それじゃあ」
 それならとだ、彼等は言った。そうしてだった。
 猫を見ながらどうしようかと考えそのうえで。
 ある消防士の知人に引き取ってもらうことにした。
「親戚にケルビン=トゥーンズって言って猫好きで」
「その人にか」
「来てもらうか」
「そうしてもらうか」
「はい、もう四匹の保護猫を育てていますから一時的でも」
 それでもというのだ。
「やってくれます」
「よし、じゃあな」
「その人にお願いしよう」
「そうしよう」
 こうしてだった、その消防士がケルビン茶色の髪の毛をショートにしていて茶色の目を持った一七七程の背のすらりとした中年男性に携帯で話をした、すると。
 ケルビンは消防士にこう言った。
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