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星河の覇皇
第七十七部第二章 第二次国境会戦その三十八

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「趙王にあえて偽情報を流し」
「趙括を総大将にさせました」
「しかしこの趙括が」
「問題でしたね」
 マクレーンもこの話を知っていて言った。
「実戦経験がなく机上だけの兵法家でした」
「ただ兵法書を丸暗記しているだけで」
 劉は自分と同じくグラタンを食べているマクレーンに応えた。
「それではです」
「こうした重要な局面で突如総大将に用いると」
「失態を犯すものです」
「そうです、経験は重要です」
 知識と同じくとだ、八条も言った。
「我々連合軍自体そうですね」
「実際にですね」
「そこは」
 ここでグラタンを食べ終わった三人は少し順序が変わっているが生ハムが来たのでそれを食べはじめた、これは本来オードブルだからだ。
「それがエウロパ戦役でも問題になりました」
「我々にとって」
「我々は実戦経験はありませんでした」
「海賊討伐位で」
「我々もそうでましてやです」
 その長平の戦いではというのだ。
「秦と事実上の決戦でした」
「そうでしたね、趙と秦の」
「秦も総動員をかけていましたし」 
 新たに領土にしていてそれが秦との衝突の原因となっていた上党の十五万と合わせ四十五万の兵を動員していた、ただしこの数は趙の誇称であり実際はこの十分の一だったと考えるのが当時の趙の国力や中国の文明規模から考えると妥当であろうか。
「ここで大敗しますと」
「趙に大きな痛手となっていました」
「この頃秦は各国をしきりに攻めていましたし」
「秦の国力は強大になっていましたので」 
 ここで趙が大敗し大軍を失うとだったのだ。
「実戦経験のない者をいきなり総大将にするなぞ」
「してはならないことでした」
「それを行いです」
 趙王はそれを秦の偽情報に騙され行ってしまったのだ。
「趙は敗れました」
「それも惨敗でしたね」
「秦はそこに名将白起を用いてきましたし」
「その結果です」
「趙は敗れました」
 ただ兵法書を丸暗記しているだけの趙括と多くの戦場で勝利を収めてきた白起とでは勝負になる筈がなかった、趙の大軍は兵法書通りに攻めて瞬く間に包囲されてしまったのだ。
「そしてです」
「四十五万の兵は生き埋めにされました」
「包囲され降ったうえで」
「そうなりました」
「若し趙王が廉頗をそのまま用いていたならば」
 主権者である彼がだ。
「この様な事態にはなりませんでしたね」
「全くですね」
「ああしたことにはなっていませんでしたね」
「四十五万の兵は生き埋めになりませんでした」
「そして趙も力を失いませんでした」
 この戦いで秦の中国統一が決定的になった、もう秦に対抗出来る戦力を持った国がなくなってしまったからだ。
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