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幻の月は空に輝く
学び舎の章――アカデミー入学・1
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…うん? いってくるね」
 何が大丈夫なのかまったく分からないけど。
 首を傾げつつも、ガラガラと音をたてて扉を開けてみたら…。

「…カカシさん」

 顔だけは無駄にいいカカシ登場。久しぶりに見た気がするけど、上忍で暗部なのに何でこんな朝っぱらからいるんだろう。

「久しぶり。元気してた?」

「…カカシさんも元気そうで良かったです。父は中に居ます」

「違う違う。今日はカシュウさんじゃなくて、ランに用事があるんだよ。というわけで」

「――ッ」

 突然担ぎ上げられ、視界が一気に高くなる。別に高い場所なんて今更だけど、米俵のように肩に担ぎ上げられる視界っていうのは久しぶりで、吃驚して身体が硬直したような気がした。というか、した。
 見事にぴっきーんと固まった私を他所に、珍しく何も言わない父さん。

「カカシ君頼んだよ!! ランに何かあったら君の武器は今後無しだと思え!!!」

「はっはっはっ。相変わらず脅しが上手いですよねカシュウさん」

「………」

 目がまったく笑ってない父さんとカカシ。というか、カカシまで駆り出したのか父さん。どんだけ親馬鹿なんだこの人は。
 けれど私が呆れた眼差しを向けるより先に、カカシが私を抱えたまま一気に駆け出す。
自分じゃまだ出せないスピード。目まぐるしく変わる景色がとっても目に優しくない気がするんだけど、カカシはそんな私には気づかない。

「か…」
「喋らない方がいーよ。舌噛むから」
「……」

 確信犯かコイツは。
 話す機会を与えたら絶対に一人で行くって思われてるんだろうね。カカシは私に話す隙も与えず、瞬身で場所を移動していく。

「……」

 上忍に付き添われていくアカデミーってどうなんだろう。
 これだと本末転倒じゃないかな。と、私は肩に担がれてる事を利用して、そのまま前転をするようにカカシの肩から転げ落ちる。
 まさか私がそんな事をするとも思っていなかったのか、珍しく本当に吃驚した表情を浮かべて助けようと腕を伸ばそうとしたんだけど、それよりも先に私は絃を伸ばして枝にぶら下がった。


「ランッ。怪我は? 足は? 身体は大丈夫か??」
「カカシさん。俺の身体はもう大丈夫ですよ」
 どうやら、昔のイメージが抜けないらしく、本当に心配してくるカカシに私は改めて大丈夫という事を伝えてみる。
 けれど不安を隠せないカカシに、私はそっと右手を差し出してみた。

「…カカシさん、手」
 うん。かーなーり、恥ずかしいんだけどね。中身はいい年した大人ですから。寧ろカカシよりも年上だから。
「……?」
 意味がわからなくて眼を瞬くんだけど、私は自分の手よりも遥かに大きいカカシの手を取ると。
「折角だから歩いていこう」
 素っ気
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