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お茶漬け女子
第二章

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「お金出さないとね」
「駄目なのね」
「そうした場所だから」
 それでというのだ。
「高校生が行くには」
「もうそのお店のことは調べて」
 かなは母に笑顔で答えた。
「そのお店に行く為にね」
「お金貯めてたの」
「そうしていたの、コツコツとね」
「そこまで考えていたの」
「だって美味しいって評判だから」
 そう聞いているからだというのだ。
「だからね」
「お金も用意していたの」
「そうなの、だからね」
「それでなのね」
「そう、だから」
 それ故にというのだ。
「お金は用意しているから」
「だからなのね」
「そう、行って来るから」
「それで食べるの」
「それでやっぱり一日一回はね」
 これは絶対にというのだ。
「お茶漬け食べるわ」
「全く、何処までもお茶漬け好きね」
「好きなものは好きなのよ」
 かなは母に笑顔で言ってだった。
 修学旅行に出た、そうしてだった。
 朝の食事で自分のお碗のご飯の上に漬けものを乗せてその上にお茶をかけてお茶漬けにして食べた。友人達はそのかなを見て言った。
「お茶漬けにしたの」
「そうして食べたの」
「だって好きだし」
 かなは友人達にそのお茶漬けを食べながら答えた。
「すぐに食べられるでしょ」
「ええ、それはね」
「お茶漬けってすぐに食べられるわ」
「あっさりしてるしね」
「食べやすいから」
「味もいいし」
 美味しいしというのだ。
「だから朝はこれなの、それでね」
「それで?」
「それでっていうと」
「今日自由時間になったら」
 友人達にさらに言った。
「お茶漬けの専門店に行って」
「それでなの」
「そこでも食べるの」
「そうするの」
「そうするわ」
 母に言ったのと同じ言葉だった。
「絶対にね」
「そうなのね」
「京都はお菓子も有名だけれど」
「お菓子よりもなのね」
「お茶漬けなのね」
「そう、それを食べる為にね」
 お茶漬け専門店のお茶漬けをというのだ。
「お金も貯めてきたし」
「そこまでするの」
「それはまた凄いわね」
「それで今日はなのね」
「自由時間になったら」
「その時は食べるわ」
 そのお茶漬けをとだ、かなは友人達にも言ってだった。
 そうして実際に自由時間にその店でお茶漬けを食べた、その後で彼女は友人達に晴れ晴れとした顔で語った。
「京都に来てよかったわ」
「いや、金閣寺とか清水寺よりもなの」
「お茶漬けなの」
「そっちなの」
「ええ、やっぱりね」
 池田屋の跡地の前で言うのだった。
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