暁 〜小説投稿サイト〜
MOONDREAMER:第二章〜
第三章 リベン珠
第12話 THE LUST 1/4
[7/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
で以って突っ込んで来たのだった。
 更にはその速度は非常に速いものであった。伊達に馬の形態は取ってはいないという事であろう。
「来た!」
 当然その猛然とした光景に勇美は驚くのであった。だが、彼女には今『仲間』という掛け替えのない存在が側にいるのだった。
「勇美さん、ここは私に任せて下さい!」
 言うと鈴仙はその馬と同じ赤い瞳を更に赤く光らせ、その馬目掛けて視線を送ったのだった。
 そして、とうとう馬はその兎と目が合ってしまったのだ。俗的に人参を好む動物同士の瞳合わせであったが、それは決して同志として絆を生むものとはならなかったのである。
 鈴仙のその狂気の瞳の直視を浴びてしまった炎の馬には、すぐに異変が起こったのである。
 馬は激しく嘶き、鼻息も荒げ、まっすぐにこちらに向かっていた軌道も変えてしまったのだった。そう、例えエネルギー体と言えど、生き物の形態を取り意思を持っている以上、瞳を合わせれば鈴仙のその狂気の瞳から逃れる術は存在しないのである。
 猛り狂い、平常心を失った馬は、主たるドレミーへとその身を肉薄させていったのである。ドレミーにとって飼い犬に腕を噛まれるとは正にこういう状況の事であろう。
 このままではドレミーは自分の生み出した遣いに迫られ、その身を焼かれてしまうだろう。だが、彼女は至って冷静であった。
「相手の攻撃をそのまま返す。いい狙いですね。でも、ここが夢の世界で、私がその支配者だって事を忘れてはいけませんよ」
 そうドレミーは言うと、その身を軽やかに翻して跳躍したのであった。
 宙を舞うドレミー。そして、彼女の眼下に存在する足元には例の暴走じゃじゃ馬がいたのである。そのままその馬へと彼女は重力に引かれて迫って行く。狙うは勿論、彼の逞しい背中である。
 この状況から察せられる事実は一つであろう。そう、彼女はその暴れ馬に自らが乗り、統率を試みようとしているのだ。
 理に敵った行動である。だが、ここでその炎の馬とは別の火が付いてしまったものがいた。
「うわあ! ドレミーさん、ネグリジェ……つまりスカートのままお馬さんに跨る気ですか。それはいい心掛け……いや、けしからん事ですぞぉ〜♪」
 そう、他でもない脳味噌の中が永遠の春である勇美であった。彼女はこれから起こるだろう、彼女にとってありがたい惨状に今か今かと心を弾ませるのだった。
 だが、悲しいかな。世の中は携帯獣を集める時のみならず、いつもいつでもうまくいく保障はどこにもないものなのだ。
「残念ですが、出来ません……ではなくて、心配には及びませんよ♪」
 ドレミーは間違ってRPG作成ツール5作目のやり取りのような台詞を言いそうになるが、落ち着いて訂正して勇美に諭すように言った。
「はっ!」
 彼女は宙を舞ったままそう掛け声を出すと同時、ドレミーのそ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ