暁 〜小説投稿サイト〜
助け出されたのは何と
第二章

[8]前話
「ですから」
「それで、ですね」
「この子はですね」
「野生に戻して」
「そうしてですね」
「そしてです」
 そしてというのだ。
「マイクロチップも埋めて」
「その生態も把握して」
「しっかりと保護しますね」
「そうしますね」
「そうします、狼は本当にです」
 実際にというのだ。
「貴重ですから」
「今や野生のものはそうで」
「我がエストニアは野生の狼がまだいることでも知られています」
「それが観光の目玉にもなっていますし」
「大切に保護しないといけないですね」
「ですから」
「はい、この子はマイクロチップを埋めて」
 そしてというのだ。
「大切に保護しましょう」
「わかりました」
「それではそうしましょう」
「そしてそのうえで」
「野生の中で暮らしてもらいますね」
「そうしましょう」
 こう言ってだった。
 その狼はゲルマンと名付けられ堰に落ちて弱っていた分を回復させてそうしてだった。その後でだった。
 野生に戻された、獣医はそのゲルマンの暮らしを日々チェックしながらそのうえで彼を助けたレスキューの人達に話した。
「あの子は今もです」
「元気ですか」
「そうですか」
「あの子は野生の中で暮らしていますか」
「そうしていますか」
「群れの中に戻っています」
 狼のそれにというのだ。
「そうなっています」
「ああ、狼ですから」
「狼は群れで暮らしますからね」
「それで、ですね」
「あの子もですね」
「どうもあの時は群れからはぐれて」
 そうしてというのだ。
「堰に落ちたみたいですね」
「それで私達が保護してですね」
「元気になって野生に戻ったら」
「群れに戻ったんですね」
「そうしたんですね」
「はい」 
 そうなったというのだ。
「あの子は」
「そうですか、それは何よりですね」
「ではこれからも過ごして欲しいですね」
「仲間の群れの中で」
「そうして欲しいですね」
「そうですね、そうしてもらいましょう」
 獣医は笑顔で言った、そうしてだった。
 ゲルマンのことをいつもマイクロチップを頼りに見ていた、彼は自分の群れの中で楽しく暮らしていた。彼もレスキューの人達もそれを見て笑顔になった。


助け出されたのは何と   完


                 2021・2・22
[8]前話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ