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孤独と不安からの解放
第三章

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「これは」
「そうね、まさかここまでなるなんて」
「思わなかったな」
 二人はすっかり心を開いてくれたシンフォニーを見て驚きつつ笑顔になった。実際にシンフォニーは二人の傍にいつもいる様になり。
 そしてフラットともフォルトとも仲良くなっていた、彼女は家族の一員になった。
 妻はそんなシンフォニーを見つつ夫にある手紙を渡した、その手紙は。
「受刑者の人達からのお手紙なの」
「更正カリキュラムのか」
「シンフォニーと一緒にいた人達からのね」
「そうなんだな」
「読んでみて」
 夫に対して言った。
「今から」
「それじゃあ」
 夫は妻に応えて読んでみた、すると。
 シンフォニーがどれだけ自分達の癒しになってどれだけ有り難い存在だったか。全ての手紙に切実に書かれていた。
 その手紙を全て読み終えてだった、彼は妻に話した。
「そうだったんだな」
「ええ、人と触れ合ってね」
「シンフォニーは人を救ってな」
「最初は心を開いてくれてなくて」
「いつも一匹でいてな」
「不安そうだったけれど」
 二人の家に最初に来た時もっと言えば保護された時の様にだ。
「そうだったのがね」
「少しずつだったんだな」
「心を開いていって」
「受刑者の人達の優しさに触れていってだな」
「それで受刑者の人達もね」
「心を救われたか」
「そうなったのよ」
 こう夫に話した。
「お手紙を読むとね」
「それがわかるな」
「よかったわね」
「シンフォニーにとっても受刑者の人達にとっても」
「そうよね、こうしたカリキュラムは今後もあって欲しいわね」
「全くだな」
 夫は妻の言葉に心から同意した。
「こうしたことはな」
「これからもね」
「あって欲しいな」
「シンフォニーが救われて受刑者の人も救われて」
「沢山の心が救われるからな」
「是非ね」
「全くだ。じゃあ今からシンフォニー達にご飯をあげよう」
 夫は優しい声で提案した。
「そうしよう」
「その時間だし」
「今から。ご飯だぞ」
「ニャア」
「ナア」
「ニャ〜〜ン」
 フラット、フォルトに続いてシンフォニーも来た、そうしてだった。
 三匹は二人が出したご飯とミルクを食べた、シンフォニーも他の猫達も仲良くそれもお腹一杯食べた。もうそこには孤独や不安はなく幸せだけがあった。


孤独と不安からの解放   完


                2021・2・19
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