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ソードアート・オンライン 八葉の煌き
輝く目
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「くそっ、遅かったか!」
俺はそう吐き捨て一気に悪魔の鼻の先まで飛び上がる。軍の連中の数はまだ12人を保っている。ならまだ間に合う、誰だろうと俺の目の前で死なせてたまるか!
「何やってんだ阿呆!さっさと結晶で脱出しやがれぇ!!」
だが軍の青年の一人は泣きそうな顔になった。
「駄目だ……結晶が使えない!」
「何だとぉ!?」
結晶無効化空間!?冗談じゃねえ!ボスの部屋がそうだった事は一度も無かった筈だぞ!くそっ、これじゃあ何とかリーシャ達が来るまで持ち堪えるしかねえのか……
「我が軍はこの程度で音を上げたりは……」
「黙れ!それ以上なんか言ってみろ、例え重犯罪者(レッド)プレイヤーになってもテメェの首叩き落してやる!」
既に俺の体力も眼に見えて減り始めた。奴の吐く吐息にも当たり判定があるようで俺の育て上げた戦闘時回復(バトルヒーリング)スキルでも追いつかない、これじゃあ耐え切るのは無理だ………だったらこれしかねえ!
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
俺は雄叫びを上げて刀を両手で持って眼にも止まらぬ超速の連撃をくりだした。16連続攻撃、八葉一刀流最上級スキルの一つ「風神烈波」が炸裂する。本来は「大雪斬」と同じく高所に飛び上がってから繰り出す技なので地上で繰り出した今威力は従来の物よりは落ちる……落ちるが
それでも威力は申し分ない!
「ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!!!!」
申し分ない――――だが、
それでもこの悪魔を倒すには至らない。
悪魔は斬馬刀を振り下ろした、さながら罪人の首を切り落とすギロチンの様に。
大技に耐え切られた今、「風神烈波」の硬直により動けない俺に回避する手段は無い。
………ここまでか。
そう覚悟して俺は眼を瞑った。間もなく斬馬刀が振り下ろされ俺はポリゴンの破片となるのだろう。それは疑いようもないこの世界の「死」だ。俺はそれを何度もこの眼で見てきてる。俺は死ぬ、死んでしまう。
……………………………耳に響いたのはポリゴンが砕ける音ではなく、金属同士がぶつかり合うとても耳障りな音だった。
「…………え?」
恐る恐る眼を開けるとそこには見慣れた背中が三つあった。
「お、お前等……」
そう呟いて俺は手を握った。現実ならきっと汗まみれだっただろうその手に汗は無い。
………俺は生きているー!
確かな確信が心の中心を貫いた。
「……ハハ。」
びっくりするくらい情けない笑いが俺の口から漏れた。気付くと体を恐ろしい倦怠感が包んでいた。敵の前だと内心で叱咤しても、とても逆らうことができず俺はゆっくりと眼を閉じて夢の世界へ旅立った。
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