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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
793年12月号アライアンス・ポリティカ誌に掲載されたとある記事
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が生まれ、それをバネに、新たな均衡が模索されてきた歴史がありますわい。対立自体は活力をもたらすものである、ととらえるべきじゃのう。

オリベイラ氏
エプレボリ氏のご指摘の通り、同盟政治において、首都圏と地方の間には、自立を主体とする『個人主義的ハイネセン主義』か、万民の自由権を政治が保証し、自立のための共同体の互助を主体とするべきだというジョージ・パームが再興した労働組合運動を中心とした『共同体的ハイネセン主義』‥‥といった「伝統的な」対立の構図がありました。
 他方で、構成邦内の自治政界でも多様な意見があり、地域間で多様な文化、社会制度が生まれています。その為、一般に言われる『都市対地方』の対立構図のみで見るのもまた難しい。下院の議席の変動や得票率を統計でみると『パルム的ハイネセン主義』は組合活動や医療、社会保障の発展に伴い都市部にも受け入れられていることがわかります。
 このように、同盟政党内部で多様な構成邦を飲み込み、党内で合意や妥協が成立することも珍しいことではなく、さまざまな場面で地域対立の単純化が否定されてきたのも事実です。ところがイゼルローン回廊を押し上げられた760年代に入ると、構成邦の情勢が著しく変容してしまい、構成邦間の格差が広がりつつあり、国政政党内部における調整能力が衰えた結果が現れたといえるだろう。

エプレボリ氏
 あー‥‥オリベイラ殿の発言もごもっとであるが、この点においてはとくに『コルネリアス1世の大侵攻』が大きな転換点となっていることも指摘させていただきたい。
 わが故郷のアルレスハイムも注目されておりますが、ティアマト民国やアスターテ連邦共和国などの政治文化や意識改革、また同盟政府の存在感の高まりなどはこの軍事的危機から始まったのであるといえましょうぞ。一種、現在の国体を作ったのはこの点‥‥

オリベイラ氏
 エプレボリ氏のおっしゃりたいことはわかりますが、同盟議会からみた影響という点では聊か話がさかのぼりすぎているようにも思う。

エプレボリ氏
 オリベイラ殿のご指摘痛み入るが、この点においてはとくに構成邦の政治的変化に注目するべき点であると存じますわい。



同盟政府と構成邦の関係

――今回のテーマは【交戦星域】からみた同盟政界です。【大侵攻】を契機とした変化とはどのようなものでしょうか?

エプレボリ氏
 構成邦における政体の変化が大きくなったのはこの時期でしてな。 純粋な必要性からだが【交戦星域】で行政府への権力の集中が一気に進んだ点は注目に値する。一般的に軍事独裁のイメージが強いヴァンフリート民主共和国においても同盟全体の経済成長が進んでいた時期は多党制は1世紀近くかけて根付いておりました。
 また同盟政府への集権的改革が一挙に進んだことで、その反動として分権
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