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母犬の願い
第一章
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                母犬の願い 
 プエルトリコの話である。
クロスティーナ=タラゴンこの島で働きながら生きものの保護ボランティアのスタッフをしている彼女は自分と同じボランティア団体に所属している面々と共に迷い犬を探していた。
「ここにもいないわね」
「そうね」
「何処にいるのかしら」
「一体」
 探したが見付からず困っていた。
「それ程広い島ではないし」
「探せば見付かる筈なのに」
「大抵そうなるのに」
「今回の子は中々見付からないわね」
「どうも」
「今日は仕方ないから」
 クリスティーナは周りに話した、黒髪で黒めの肌と目であり英語はスペイン語の訛りが結構ある。背は一六二程でスタイルはいい。
「もうね」
「これで打ち切って」
「それでよね」
「もうよね」
「また明日ね」
「明日探すのね」
「そうしましょう」
 こう言うのだった。
「残念だけれどね」
「そうね、また明日ね」
「明日また探しましょう」
「探せばきっと見付かるわ」
「プエルトリコはそんなに広くないしね」
「それに島だから」
 他に行く場所もない、それでだ。
 スタッフ達は犬探しを中断して帰ることにした、だが。
「クォ〜〜〜ン・・・・・・」
「犬ね」
「探してる子じゃないけれど」
「犬ね」
「随分痩せた子だけれど」
「野良犬みたいにね」
 黄土色に近いあちこち汚れた薄茶色の髪の毛と垂れた耳の大型の犬だ、非常に痩せていて如何にも野良犬だ。その犬がクリスティーナを必死の目で見ていた。
「ワン・・・・・・」
「どうしたのかしら」
「この子何か必死ね」
「物凄く懇願するみたいな目だけれど」
「何かあったのかしら」
「ねえ、どうしたの?」
 クリスティーナはここで犬に尋ねた。
「一体。私達に何か出来るの?」
「ワン」
 犬は彼女の言葉を聞くとだった。
 ついて来てという顔になって歩きだした、クリスティーナはそれを見てそのうえで同僚達に対して話した。
「ここはね」
「ええ、ついて行きましょう」
「あの子にね」
「そうしていきましょう」
「そうね、それでね」
 まさにというのだ。
「どういう事情か確かめましょう」
「それがいいわね」
「じゃあついて行きましょう」
「探している子は見付からなかったけれど」
「それでもね」
 他のスタッフ達も頷いてだった。
 クリスティーナと共に犬についていった、すると犬はあるコンテナの前で立ち止まった。そしてそこでまたクリスティーナ達を見た。
「ワン・・・・・・」
「コンテナの下に掘った後があるわね」
「この子が穴を掘ったのね」
「そうしたのね」
「若しかして」
 クリスティーナはここでまた言った。
「この子女の子みたいだから」

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