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レーヴァティン
第百八十九話 流れは次第にその一

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                第百八十九話  流れは次第に
 久志は川を使って移動や補給を進めつつ北の大国の都であるペテルブルグに向かっていた、その途中に。
 敵のもう一つの都であるモスクワに迫った、そのモスクワを見て久志は言った。
「大きいな」
「この国第二の都でして」
 夕子が言ってきた。
「それだけにです」
「あの大きさか」
「人口も多く」
 ただ大きいだけでなくというのだ。
「店も多いです」
「じゃあその街をな」
「今からですね」
「手に入れるか」
「はい、ですが」
 夕子もモスクワを見ている、そうして話した。
「守る兵は多いです」
「そうだな、しかしな」
「その兵達は」
「やっぱり民をだな」
「無理にした兵達です」
「見たらわかるな」
 その兵達をとだ、久志は言った。
「武器も防具も粗末でな」
「士気が見られません」
「その状況を見るとな」 
 それはというのだ。
「相変わらず数だけだな」
「武器はほぼ持ち」
 そしてというのだ。
「突くか振るか」
「それ位だな」
「そうした兵達ですので」
「冗談抜きで弱いな」
「はい」
 夕子も言い切って答えた。
「彼等は」
「そうだよな」
「そしてその彼等とです」
「また戦うか」
「そうなります、ですが士気のことですが」
 ここで夕子は久志にこうも言った。
「今は低いですが」
「あの兵達はモスクワの連中だな」
「モスクワの市民の男子を」
 見れば老若様々だ、子供と言っていい者もいれば還暦を過ぎていることが明らかな背中が曲がった者もいる。
「強制的に連れ出し」
「兵隊にしてるな」
「そうした人達なので」
 それでというのだ。
「いざとなれば」
「自分達の街を守る為にな」
「必死に戦います」
 そうなるというのだ。
「例え武具は粗末で訓練を受けていなくても」
「それでもな」
「そうして戦ってきます」
「そうだな」
「ですから馬鹿には出来ません」
「人間必死になると慣れていないことでも結構力出すしな」
「はい、ですから」
 モスクワを守る兵達もというのだ。
「苦戦もです」
「有り得るな」
「そうかと」
 こう久志に話した。
「この度は」
「そうか、じゃあな」
 ここまで聞いてだ、久志は言った。
「迂闊には攻めないでおくか」
「降る様に言うか?」
 美奈代が言ってきた。
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