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戦国異伝供書
第百二十二話 大友家動くその六

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「ではな」
「はい、では」
「飲ませて頂きます」
「共に」
 弟達も応えてだった。
 四人で杯に蝮酒を入れて飲んだ、それを何度も繰り返して義久は弟達に対して微笑みつつこう問うた。
「どうじゃ、効くであろう」
「身体中に力がみなぎってきます」
「これは凄いですな」
「ここまでとは」
「うむ、では高城に兵が来れば」
 その報が来ればというのだ。
「よいな」
「すぐにですな」
「出陣して」
「あちらに向かいますな」
「そうする、精はつけたしな」
 その蝮酒を飲んでというのだ。
「充分じゃ」
「ですな、釣り野伏せで仕掛け」
「そして戦えば」
「そうすれば」
「我等は勝てる」
 間違いなくというのだ。
「では出陣の時を待とうぞ」
「この酒に誓って」
 三人の弟達は強い声で述べた、そしてだった。
 島津家は高城に敵が来るのを待った、暫くして報が来たがまさにその報こそがだった。
「そうか、遂にか」
「はい、敵が来ました」 
 義久に忍の者が答えた。
「高城に、そして早速です」
「攻めてきたか」
「そうしてきました」
 まさにというのだ。
「大軍を以て」
「そうか、ではな」
「それではですな」
「時が来た」
 義久は強い声で言った。
「まさにな」
「出陣ですな」
 そこにいた家臣達が義久に問うた。
「今より」
「うむ、四万の兵でじゃ」
 義久も応えた。
「今すぐにじゃ」
「出陣し」
「そしてな」
「耳川の方までな」
「向かいますな」
「武具は既に用意してある」
 この時が来ることをわかっていた、だからこそだ。
「ではな」
「はい、これより」
「すぐに出陣して」
「耳川に向かいましょうぞ」
「その様にな」 
 義久は自ら立ち上がってだった。
 出陣した、そしてだった。
 弟達それに主な家臣達が続き薩摩隼人達も続いた、忽ち四万の兵が集まってそのうえで耳川の方に向かった。
 その中でも義久は報を聞いて述べた。
「うむ、高城ならな」
「あれだけの数で攻められても」
「それでもな」
 大友家の軍勢も大軍だがというのだ。
「我等が来るまではな」
「もつ」
「それも充分にな」
「だからですな」
「左様、あの城を固めさせた」
 その高城をというのだ。
「そうさせた」
「四万の敵でもある程度凌げる」
「その様にな、あの城を守りきれば」
 それが出来ればというのだ。
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