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飼い猫になった野良猫
第二章
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「ずっと元気でいてね」
「長生きしないと駄目か」
「そう言うのね」
「そうよ、そんなことは言わないで」
 それでというのだ。
「二人共元気でいてね」
「それはわかってるけれど」
 それでもとだ、母は娘に寂しい笑顔で話した。
「やっぱり私もお父さんも歳だから」
「七十歳と六十七歳だと今はまだまだでしょ」
「そうかしら」
「まだこれからよ、その娘を看取る位長生きしてね」
 こう両親に言うのだった。
「是非ね」
「そこまで言うのならね」
「そうしてね」
「出来る限りそうするわね」
 母は娘に約束した、そして父も頷いた。そうしてだった。
 二人はメリーと共に暮らしていった、メリーは家の庭には出るが家の敷地から出なかった。そこが完全に彼女の縄張りになっていた。寝るのは二人の枕元になっていて。
 毎日二人と幸せに過ごした、それは二人も同じで。
 メリーを見ていつも笑顔になっていた、夫はその中で妻に言った。
「メリーを見ているとな」
「ええ、それだけでよね」
「自然と笑顔になってな」
「元気になれるわね」
「定年して史奈も結婚してな」
「あの娘も子供が出来てね」
「孫の顔まで見て」
 そこまで出来てというのだ。
「もう思い残すことはないと思っていたけれど」
「それがね」
「メリーを見ていると」
「もっと生きたくなるわね」
「そうだな」
 こう妻に言うのだった。
「自然と」
「この娘とずっとね」
「生きていきたいな」
「そう思えて」
 それでというのだ。
「自然と身体を動かしたり身体にいいものも食べる様になったわね」
「健康に気をつける様になったな」
「そうね、それじゃあね」
「これからもな」
「三人で暮らしていきましょう」
 こう話して実際にだった。
 二人はメリーと一緒に幸せに過ごしていった、そうして歳月が経ち。
 史奈は髪の毛に白いものが多くなり顔の皺やシミも気になっていた、それで二人の家に来た時にこう言った。
「二人共元気じゃない」
「もう二人共八十超えたけれどな」
「お陰様でね」
「そうよね、何だかんだ言って」
 もう歳だと言いつつというのだ。
「元気ね」
「メリーと一緒にいたら」
 母がそのメリーを膝の上に置いて話した。
「自然と笑顔になってこの娘と一緒にいたいと思えてね」
「健康になるの」
「そうなの」
 実際にというのだ。
「お散歩もする様になって健康にいいもの食べて」
「それでなのね」
「元気になって」
 それでというのだ。
「今もこうしてね」
「よかったわね、メリーも長生きしてるし」
 見ればメリーもお婆さんになっている、外見にもそれが出ている。
「私もうちの人もで」
「健も中学生だしな」
「高校志望校に合格したわよ」
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