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もう一度来てくれた
第二章

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「この娘うちで飼うことになったわ」
「そうなんだ」
「それで名前だけれど」
 今度はこちらの話だった。
「チーにしたけれど」
「そのままなんだ」
「いいわよね」
「いいと思うよ、チーの生まれ変わりかな」
 飯降は自分の足下に来て顔を摺り寄せてきている彼女を見て言った。
「ひょっとして」
「そうかも知れないわね」
「じゃあ今日もね」
「シャワー浴びてなの」
「寝るよ、明日も仕事だしね」
「本当に忙しいわね」
「うちの課は特にね」
 会社全体がそうでというのだ。
「だからもう暫くね」
「忙しいままなのね」
「やるしかないから」
 忙しいからというのだ。
「ちゃんとその分お金も出て後で有休も出るから」
「それでなのね」
「今は頑張るよ」
「けれど無理はしないでね」
「何とかそうしていくよ」
 こう言ってだった、飯降はチーを見ながら風呂場に向かってシャワーを浴びて着替えてから寝た。そうして。
 朝早くに出勤したが玄関でチーが見送ってくれた、彼はその彼女に笑顔で行って来るよと言って家を出た。帰ると玄関にいたので只今と言った。チーは彼が挨拶をすると必ずニャアと鳴いて応えてくれた。
 それだけで彼は癒されてだった、忙しい状況が続くが気持ちがかなり楽になった。それで仕事も正直デッドラインを越えていたが。
 気持ち的にギリギリまで戻った、それで会社でも働いていて課長に言われた。
「飯降君少し気持ちが楽になったかな」
「ええ、少しですが」
「その少しが大事だよね」
「そうですよね」
「正直皆今過労だけれど」
「少しでも楽だとですね」
「それが大きいから。私も家に帰ったらね」
 課長は自分のことを話した、
「奥さんがいるからね」
「奥さんと上手くいってますか」
「結婚して二十年ずっとね」
「それはいいことですね」
「娘も反抗期の歳なのにそうじゃないし」
 それでというのだ。
「有り難いよ」
「家に帰って温かいものがあると」
「その分楽になるよ、忙しいのもあと少しだから」
 それでというのだ。
「頑張っていこう」
「わかりました」
 飯降は課長の言葉に頷いてだった。
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