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もう一度来てくれた
第一章

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                もう一度来てくれた
この時サラリーマンの飯降友彦、長方形の顔で頬がこけていて眼鏡をかけた黒髪が短い青年は会社の中で疲れきっていた。その彼の課長の山本修五郎まだ四十だが髪の毛がかなりなくなっていて眼鏡をかけて痩せた顔の彼が言ってきた。
「悪いがな」
「今はですね」
「ああ、とんでもなく忙しいからな」
「会社全体がそうで」
「うちの課はな」
 とりわけというのだ。
「今日も残業だよ」
「そうですね」
「その中でも君の受け持ちがな」
 そちらの仕事がというのだ。
「凄いからな」
「はい、もう半月連続ですね」
 会社に来ているというのだ。
「そうなってますね」
「悪いな、休日返上で」
「それはその」
「いいよ、これが終わったら」
 忙しい時期がというのだ。
「その時はもう有休を取って」
「そうしてですね」
「休んでくれ、私もそうするよ」
「課長もですか」
「正直私も飯降君と同じでね」
「半月連続ですね」
「いや、二十日だよ」
 課長はそうだった。
「二十日連続だよ」
「出勤で、ですか」
「そして出勤したら」
 その時はというのだ。
「今の時間まで残業だから」
「もう九時ですか」
「そうだよ、しかしね」
「それでもですね」
「忙しい時も終わるから」
 今の大変な時もというのだ。
「頑張ろう、残業手当は出て社長も特別手当を出してくれるって言ってるよ」
「特別手当もですか」
「うん、だから今は頑張ろう」
「わかりました」
 見れば課の他の者も残っている、皆必死に働いている。そして十時を回ってだった。
 飯降はやっと退社した、家は近いが家に帰ると父はもう寝ていて起きた母は心配そうだったが家ではシャワーを浴びて寝た、食事は会社でコンビニ弁当だった。
 次の日も同じ様な状況だったが家に帰るとだった。玄関に一匹の白い子猫がちょこんと座っていた。
「ニャ〜〜〜」
「えっ、チー?」
「お昼に鳴き声がしてね」
 母が玄関に出て来て言ってきた。
「まさかって思ったら」
「この子がいたんだ」
「ええ、チーそっくりでしょ」
「本当にチーかと思ったよ」
 飯降は母に答えた、茶色の髪の毛をセットしていて年相応の顔で小柄な彼女に。一七七ある彼と比べると二十五センチは小さい。
「あの娘に」
「性別も同じでね」
「雌なんだ」
「そうなのよ」
 母は息子が小学一年の時に子猫の時に拾って来てそれから十五年生きていた彼女のことを思いだしながら答えた。
「これがね」
「顔立ちも耳の形もそっくりだけれど」
「お父さんもそう言ってたわ」
「こんなにそっくりなんて」
「驚いたでしょ、それでお父さんともお話したけれど」
 母は息子にさらに話した。
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