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オズの木挽きの馬
第九幕その十二

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「さっきの烏天狗は子供みたいですね」
「子供の天狗だね」
「そうした天狗もいまして」
「そうなんだね」
「それで天狗に剣術の稽古をつけてもらったのが」
 恵梨香はさらにお話しました。
「源義経さんなんです」
「ああ、あの人だね」
「あの人っていいますと」
「義経さんもオズの国にいるんだ」
「そうなんですか」
「弁慶さんと一緒にね」
 この人と、というのです。
「牛若丸さんとしてね」
「そうだったんですね」
「これもヒーローだからかな」
「そうですね、日本人にとってはヒーローです」
 実際にとです、恵梨香はモジャボロに答えました。
「幸村さん達と同じく」
「そうだよね」
「それで義経さんもですね」
「弁慶さんや狐さんや四天王の人達と一緒にね」
「今はオズの国におられるんですね」
「そうして楽しく過ごしているよ」
 そうしているというのです。
「毎日ね」
「それはいいことですね」
「あと織田信長さんもいるしね」
 木挽きの馬も言ってきました。
「物凄く立派な日本のお城に住んでいるよ」
「あの人もおられるのね」
「甘いものがお好きで明るくて優しい人だよ」
「あの人実は優しかったのよね」
「実はなんだ」
「結構色々言われている人なの」
 日本ではというのです。
「怖いとか魔王とかね」
「そんなこと全然ないよ」
「明るくて優しい人なのね」
「それで甘いものがね」
「好きなのね」
「お酒は飲まなくて」
 それでというのです。
「オズマ姫達と一緒に食べることもあるよ」
「そうなのね」
「日本の人達も沢山いるんだ」
 オズの国にはというのです。
「それで皆楽しく過ごしているよ」
「義経さんがそうされているなら嬉しいわ」
 恵梨香は木挽きの馬に微笑んで言いました。
「それならね」
「恵梨香としてもだね」
「ええ、とてもね」
「それはいいね、じゃあ今からね」
「黄金の羊のところにね」
「行こうね、あと少しだよ」
 木挽きの馬は恵梨香に言いつつ皆を先導していきます、そうして遂にその黄金の毛の羊のところに行くのでした。
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