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インスタどころか人生も
第二章

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「あんたが来る前に」
「えっ、今何て言ったの?」
「だから捨ててきたのよごる吉」
 あっさりとした口調はそのままだった。
「さっきね」
「いや、犬なのよ」
 やっぱりと思いつつだ、優は昭子に言い返した。
「それを捨てたって」
「大きくなって可愛くなくなってインスタにあげてもお気に入り減ってきたからね」
「そんな理由で捨てたの!?」
「そうよ、別にいいでしょ」
「よくないわよ、それで何処に捨てたのよ」
「三丁目の公園。リードで木につないだから」
「そこね!」 
 優は昭子がもう完全にどうでもいいという様な言葉を聞いてだった。
 すぐにその公園に行った、するとごる吉はいなかった。それですぐに公園の最寄りの警察署に連絡をするとだった。
 応対に出た警官がこう言ってきた。
「お鼻が黒いゴールデンレッドリバーの雄ですね」
「はい、生後七ヶ月位ですが」
「丁度今保護しました」
「わかりました、すぐに引き取りに行きます」
「あんた何やってるのよ」
 必死に警察と話をした優のところにだった、昭子が何でもないといった顔でやって来た。それで彼女に言ってきた。
「一体」
「何ってごる吉保護するのよ」
「保護って私捨てたのよ」
「捨てたってね、あんた自分が何したのかわかってるの!?」
「何って私が買ったものだから私がどうしようか勝手でしょ」
「インスタで人気なくなったから捨てるの」
「そうよ、何処が悪いの?」
 こう優に返した、何でもない顔で。
「こんなの誰でもやってるじゃない」
「そんな筈ないでしょ」
 優は完全に怒った、それでもうどうでもいいという顔の昭子を放っておいてそれで警察署に行ってだった。
 ごる吉を引き取った、そこにまた昭子が平然と来たが彼女は警官にこう言った。
「その犬もうインスタ映えしないから捨てたんですよ、欲しかったら誰かにあげますよ」
「あのね、そんな無責任な話が通じると思ってるの?」
 警官はその彼女を拘束してだった、早速取り調べを開始した。その後で。
 優は会社で同僚に話した。
「それでなのよ」
「昭子会社首になったのね」
「そう、生きもの捨てるの犯罪でしょ」
「百万以下の罰金ね」
「それを警察で自分から言ったからね」
 何の自覚もなしにだ。
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