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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
最高に最低な──救われなかった少女 V
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な、そんな初々しい少年少女の風貌をしていた。

──如月彩斗は、大人以上に大人びている。それが彼への印象だ。平生は泰然としていて、所作の端々に家柄と性格の良さを横溢させている。周囲に流されることが見られなくて、自決したことをそのまま一貫する強情──裏を返せば一途を秘めている。
しかし理子の見る限り、アリアに関することだけは、それが適っていないのだ。理子が《緋想》でアリアを負傷させた時もそう。目に見えて焦燥と嗔恚とが現れていた。今回もそう。とはいえこれは、単なる恋情隠しの紛いごとに過ぎないのだけれども──。

手もたれに頬杖をつきながら、理子は呆れたように呟いた。


「あっくんさぁ、本当にアリアのことになると弱いよねぇ」
「仕方がないでしょう。こういうの、初めてなんだから。異性に恋情を自覚したのは、これが初めてなんだよ。どうすればいいか自分でもよく分かってない。それ故に、でしょう」


「まぁ、自分のことだから自分で終幕は決めるよ。どちらに転んでもね」そう彩斗は零した。理子に届くか否かの調子で、独り言ちたように──夢見心地の中に彼は浮遊しているようだった。

そうしてやはり、如月彩斗は一途だと理子は感じていた。他人の干渉を嫌うその様は、自分で自分自身に抱いたこの感情に、どうであれ踏ん切りをつけようということだろう。そうであるならば、理子は自分が出しゃばる立場でもないか、と胸の内で結論を出した。傍観しているしかないのだ。むしろこの2人の行く先を傍観できるのは、理子にとっても面白いことだろう。


「理子は2人のこと、応援してるよ。……悔しいけど、本当にお似合いなんだもん」
「……ありがとう」


これで何度目か──背もたれに深く寄りかかりながら、その華奢な膝の上に色白の手を乗せて、やり場のない脚を虚空に浮かせている。艶美な金髪を時折、靡かせながら。
妄言ではなかった。お得意の演戯でも虚言でもない。それらは咽喉の奥から突いて出で来た、形のある言葉でしかない。今回は全て、丸みを帯びていた。最高純度の衷心だった。


「ところで、君はこれからどうするの?」不意に彩斗が問い掛けた。「司法取引も終わりました、君の居場所は出来ました──今まで通りの生活に戻るのかな?」


何が言いたいのだろうか、と理子は彼の胸中を覗き見ようとした。けれどもその真意が自分には推し量れない。単なる表層的な意味合いで捉えていいのか、裡面に何か埋まってはしないか、そんなことを気にしいしい、取り敢えずの結論を零してみる。


「前と変わらずにやってこうと思う。たぶん、それがいちばん、理子らしいから」


理子がそう零すと、彩斗は満足気に「そっか」と呟く。そうして、言葉を次いだ。


「でも、君は君のやりたいよう
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