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戦国異伝供書
第百十九話 悪人達の絵その十

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 敵は島津家の軍勢が動きかつ多くののぼりそれも島津家の橙のそれを見てだった。
「敵の数が多いぞ」
「あののぼりの数は何だ」
「三千以上いないか」
「敵の数は七百と聞いていたが」
「それどころではない」
「三千以上いるぞ」
「攻めあぐねている間に援軍が来たのか」
 彼等は口々に言った。
「だとすれば勝てないぞ」
「もうここは退くべきだ」
「これ以上戦っても倒されるだけだ」
「城も攻め落とせていない」
「それならだ」
「もう下がろう」
「そうしよう」
 こう話してだった。
 伊東家の兵達は退きはじめた、義久はそれを見て言った。
「よし、これでな」
「我等の勝ちですな」
「敵が退いたならば」
「敵の足は遅いですし」
「それならばですな」
「又四郎、又七郎に告げよ」
 先陣と伏兵の一手を率いる彼等にというのだ。
「又四郎は敵を追いな」
「又七郎はですな」
 歳久が言ってきた。
「敵が来たならば」
「襲いかかってな」
 率いている伏兵となっている軍勢と共にというのだ。
「手柄を立てよとな」
「さすれば」
「そして我等もな」
「又四郎兄上が率いておられる先陣に続き」
「敵の軍勢と追ってじゃ」
「攻めますな」
「そうせよ、伏兵で襲いかかり」
 そしてというのだ。
「そこに先陣も攻め入ってな」
「我等となり」
「そしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「勝つぞ」
「さすれば」
 歳久も頷いてだった。
 島津家の軍勢も動いた、伊東家の軍勢は城の囲みを解いて退き自分達の領地に向かっていたがその途中にだった。
 左右にいきなり四手からの奇襲を受けた、家久は八十の手勢に言った。
「よいか、ここはじゃ」
「はい、一気にですな」
「敵の横腹を衝き」
「そうして攻めますな」
「今こそ好機じゃ」
 こう兵達に告げた。
「だからな」
「はい、鉄砲を駆けながら敵に放ち」
「その後で刀を抜いて切り込み」
「そうしてですな」
「敵を倒すのじゃ、首をどんどん取れ」
 敵の者達のそれをというのだ。
「よいな」
「わかり申した」
「それではです」
「その様に攻めましょうぞ」
「それでは行くぞ」
 家久は自ら言ってだった。
 自ら鉄砲を手に兵達を率いて敵陣に切り込んだ、鉄砲を撃つとそのまま刀を抜いて敵の者達を次から次に切る、そこに他の伏兵の者達も襲い掛かり。
 義弘が率いる先陣も来た、義弘もまた兵達に告げた。
「よいな、敵はじゃ」
「思う存分攻めてですな」
「手柄を立てればいいですな」
「左様ですな」
「そうじゃ」
 それでというのだ。
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