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家族に対する仕打ちか
第一章

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               家族に対する仕打ちか
 国崎洋介はその話を聞いて瞬時に文字通り怒髪天を衝いた、そして妻に真っ赤になった顔で言った。
「おい、行くぞ」
「行くって百田さんのお家に?」
「そっちにも行くが後だ」
 こう妻に返した。
「まずは保健所に行くぞ」
「そっちに行くの」
「ああ、こうなるとは思っていたけれどな」
 それでもというのだ。
「実際になると腹が立つな」
「あんた本当に怒ってるわね」
「怒らない筈がないだろ」
 それこそというのだ。
「飼っていた犬を保健所に送ったか」
「ええ、そうよ」
「もういらないって言ってな」
「五日前にね」
「今すぐに行かないとな」
 どうなるかとだ、夫は妻に言った。
「わかるだろ」
「ボランティアの人が引き取ってくれるか新しい飼い主の人が見付からないと」
「殺処分だ」
 犬はそうなってしまうというのだ。
「そうなってしまうだろ」
「五日前だから」
「仕事から帰ったばかりだがな」
 それでもというのだ。
「今すぐ保健所に行ってな」
「ふわりちゃん引き取るのね」
「ああ」
 そうするというのだ。
「そうするな」
「うちで飼うのね」
「さもないと本当に殺処分だぞ」
 そうなってしまうというのだ。
「今から保健所に電話してな」
「保健所に行くって言って」
「ふわり引き取ってな」
 そうしてというのだ。
「今日からうちで飼うぞ」
「そうするのね」
「とりあえず引き取るんだ」
 今はそうするというのだ。
「いいな、まずはそれからだ」
「殺処分になるから」
「そうだ、しかしあいつ等」 
 文太は怒りに満ちた顔でまた言った。
「やるとは思っていたけれどな」
「あんなに可愛がっていた娘を保健所に送るなんてね」
「とんでもない奴等だ」
「自分達の娘だって言っていたのよね」
「それでこれだ、命を何だと思っている」
 その怒りに満ちた顔で言うのだった。
「このことは絶対に忘れないからな」
「本当に酷いことね」
「全くだ、じゃあ行くぞ」 
 文太は妻を連れて家の車に乗った、そして夜道でも速度を思いきり飛ばして保健所に行った。そのうえで。
 保健所に駆け込んでそうして保健所の人に言った。
「電話をした国崎ですが」
「ええ、トイプードルの女の子ですね」
「もうすぐ三歳になって名前は」
「ふわりちゃんですね」
「はい、何処にいますか」
「こちらです」
 保健所の人はすぐに文太と妻をふわりのところに案内した、そこに行くには。
 重い扉を幾つも越えていった、その間多くの犬や猫がいたが。
 保健所の人は文太に沈痛な顔で話した。
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