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外道獣医の末路
第二章

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「すぐに診ます」
「そうしてくれますか」
「これは大変です」
 だからだというのだ。
「そうします」
「それじゃあ」
「はい、それと」
「それと?」
「この子まさか」
 その猫を見て言うのだった。
「迷い猫じゃないですか?」
「そうなんですか?」
「そうじゃないかと。けれど」
「まずはですね」
「診させてもらいます、かなり弱ってますので」
 それでというのだ。
「ことは一刻を争うかも知れないので」
「宜しくお願いします」
「はい、今から」
 こう言ってだった、その獣医は。
 猫を診た、そして注射等をしてから由美に言った。
「かなり衰弱していましたが」
「それでもですか」
「怪我や病気はなかったので」
 それでというのだ。
「栄養注射もしたので」
「大丈夫ですか」
「これで。ただあと少し遅かったら」
「病院に連れて行くことが」
「危なかったです」
「そうでしたか」
「はい、ただ」
 獣医は猫を診ながら由美に話した。
「この子は雄ですね」
「そうですね」
 このことは由美も拾った時に確かめていた。
「この子は」
「それで元々は白猫ですが」
「どうしたんですか?」
「いえ、迷い猫の捜索依頼が先月から出ているんですが」
「ひょっとして」
「はい、白の雄猫で」 
 それでというのだ。
「種類も見たところ」
「その子ですか」
「確か名前はシューベルトでしたね」
 獣医は捜索依頼が出ている迷い猫の名前も言った。
「そうでした」
「その子が」
「飼い主さんに連絡をしてみますね」 
 依頼を出していたその人にというのだ。
「すぐに」
「はい、見付けた場所は」 
 由美は獣医にその猫を拾った場所からこの病院に来るまでもこと細かに話した、一度は診察を断られたことも。
 全て聞いてだ、獣医は由美に眉を顰めさせて言った。
「あの動物病院ですか」
「ご存知ですか」
「ネットでは評判いいんですが」
「どうもお金持ちの人には愛想がよくて」
「お金がない人にはですか」
「冷たいらしくて。野良猫も」
「お金にならない、汚いからですか」 
 眉を顰めさせたまま言った。
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