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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第一章 〜再会と出会い〜
その一
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るからだ。

「まあ、授業のある日とは違って早く終わるしな」

 いただきます、と手を合わせて朝食に手を伸ばす稟。

「お昼前には終わりますから、すぐに帰ってきますよ」

 同じように手を合わせる楓。プリムラもそれに続く。

「……ん……分かった……」

 とある事情によって感情をうまく表せない少女、プリムラ。しかし、この二ヶ月ほどの同居生活で、少しずつではあるものの、感情を表すことができるようになってきている。あとは何かきっかけがあれば歳相応な表情をみせてくれることだろう。

         
          *     *     *     *     *     *


「それではリムちゃん、お片づけをお願いしますね」

「……うん。任された」

「それじゃ、行ってくるな」

「行ってきますね」

「……行ってらっしゃい」

 朝食の後片付けを自ら買ってでたプリムラに任せ、二人は家を出た。

「あ、稟くん、カエちゃん、おはよー」

「稟様、楓さん、おはようございます」

 二人が前庭から道路に出た所で、二つの声が響いた。見れば、稟達のクラスメイトであり、両隣に住んでいる二人の少女が笑顔で(たたず)んでいた。

「おはよう、シア、ネリネ」

「おはようございます、シアちゃん、リンちゃん」

「今日も朝から暑いねー」

「でも、稟様のお顔を見れば暑さも吹き飛んでしまいます」

 ネリネの台詞に苦笑いを浮かべながら、

「そういえば二人とも登校日のことはちゃんと覚えてたんだな」

きれいさっぱり忘れていた稟は感心したように言う。

「あ、あははー、実は昨夜カエちゃんから電話をもらうまで完全に忘れてました」

「あー、うん、それはよかったな」

「あ、リンちゃんはちゃんと覚えていましたよ」

「あうっ」

 フォローを入れようとして逆に追い討ちを掛けてしまう楓。

「あ、あの、そろそろ行きませんか?」

 ネリネの言葉に賛同し歩き始める四人。

 稟は今日も暑くなりそうだ、と夏の青空を見上げた。


          *     *     *     *     *     *


「元気だな」

 どこか年寄りじみた口調で言った稟の視線の先には、残り少ない夏休みを満喫しようとばかりに遊びまわる小学校低学年くらいの少年達がいた。物思いに耽っていると、

「稟様? どうかされましたか?」

「ん……ああ、いやちょっとな」

聞いてきたネリネに返事をする。

「そういえば稟君、今朝は早起きでしたけどなにかありましたか?」

「あれ? そうなの?」

「はい、いつもより三十分くらい早かっ
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