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汚職はしても
第二章

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「実は元老の人達何書いても特に言わないがな」
「ああ、僕達ブン屋は適当なことを書くってな」
「伊藤さん怒ったことがあっただろ」
「あの人の女の話でな」
「そうしたことがあったからな」
「山縣さんのこともだな」
「もう汚職の話も色々言われていてな」
 そうしてというのだ。
「適当なこともあれこれ書かれてるだろ」
「それはまともな記者ならだよな」
「するなよ」
 早見にこんことを注意するのだった。
「いいな」
「ああ、それは気をわかってるさ」
 早見にしてもというのだ。
「ちゃんとな」
「それじゃあちゃんと調べてな」
「それで書くな」
「そうしろよ」
「絶対にそうするな」
 早見はその記者の忠告に確かな声で頷いた、そうして山縣の暮らしぶりをしっかりと調べていったが。
 若い時は大酒を飲んでも今は然程飲まず服も普通のもので食べるものも佃煮をご飯にかけて食べる等これといって贅沢ではなかった。そして塩水の風呂に入ることと槍の鍛錬を好み女色にもこれといってであった。
 金を使っている気配はない、かといってだった。
「蓄財に汲々ともしていないな」
「やっぱりそうか」
「普段からそんな感じしなかったが」
「実際にか」
「そうした風はないか」
「ああ、全くな」
 早見は同僚達に喫茶店で珈琲を飲みつつ話した。
「本当にな」
「暮らしは質素でか」
「衣食住全部にそうで」
「女の影も薄い」
「やっぱりそうなんだな」
「山みたいな汚職をしていてもな」
 それでもというのだ。
「本当にな」
「贅沢とは無縁なんだな」
「お屋敷はいいけれどな」
「お庭もな」
「けれど暮らしは質素でな」
「本当に何に使っているんだ」
 誰もが首を傾げさせることだった、そして早見は同僚達に珈琲を飲みながらこうしたことを言った。
「そこをさらに調べていくけれどな」
「まともに調べてだな」
「それで書くな」
「けれど調べてもか」
「やっぱり質素な人か」
「汚職をしているのは事実だよ」
 山縣にその話が多く行っていることはというのだ。
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