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おぢばにおかえり
第六十一話 食べてもらってその十四

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「絶対に言わないことよ」
「それがいいですね」
「若し言ったら」
「言葉に出したらですね」
「取り返しがつかなかったりするでしょ」
「あの先輩みたいにですか」
「そうなるから」
 だからだとです、私は阿波野君にさらに言いました。
「絶対にね、けれど長生先輩は」
「そういうこと言う人じゃない、ですね」
「そのことは言っておくから」
「けれどご本人が言ってますし」
「そんな筈ないと思うけれど」
 私としてはです。
「先輩がそんなことされるとか」
「そうですかね、僕はあの人残酷で独善的な人だって思いますから」
「だから違うのに」
 何でこう思うのか不思議で仕方ないです。先輩は阿波野君の前でもいつもの先輩で凄く穏やかだったのにです。
「公平で穏やかでね」
「優しい人ですね」
「そうなのよ、とても立派な人だから」
 一年間同じお部屋にいたのでわかります。
「将来素晴らしい奥さんになられるから」
「僕はそうは思えないんですよね」
「残酷な人だっていうのね」
「独善的で」
「それで酷いこともするっていうの」
「そうですよ、そりゃ人は悪いこともしてしまいます」
 阿波野君は私に真面目なお顔で言ってきました。
「それで後悔もしますけれど」
「先輩もそうで、っていうのね」
「それであの人がしたことは」
 神殿の西の礼拝堂の階段のところで上から罵ったり相手の人が下校中に高校の正門で何人かで待ち伏せして聞こえる様に悪口を言うことはというのです。
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