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麗しのヴァンパイア
第二百九十八話

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                  第二百九十八話  苦くても
 春奈はテーブルに座って抹茶を飲んでいた、向かい側の席には母がいてそのうえで一緒に飲んでいる。
 そして一口飲んで言うのだった。
「苦いわ、けれどね」
「それでもですか」
「苦くてもですか」
「これが美味しいのよ」
 実にというのだ。
「慣れてくると」
「そうなのですか」
「苦いと美味しくないですか」
「そう思いますが」
「それが違いますか」
「私も最初飲んだ時まずいと思ったけれど」
 それがというのだ。
「慣れてくるとね」
「美味しく感じられて」
「そして今もですか」
「美味しいわ、それでお抹茶を冷やしてね」
 春奈はこの飲み方の話もした。
「甘くしたのがグリーンティーなの、けれどね」
「けれど?」
「けれどといいますと」
「甘くて美味しいけれど」
 それでもというのだ。
「何か違う感じがするのよ」
「お抹茶とですか」
「左様ですか」
「冷えているから夏はいいけれど」
「甘くて、ですか」
「そのことがですか」
「私としてはね」
 春奈は抹茶を飲みながらさらに話した。
「このお抹茶の方がいいわ、お抹茶を冷やして」
「甘くしないとですか」
「いいですか」
「それがいいと思うわ」
 イーとリャンに話した、言いつつさらに飲んでいく。少し冷めてきたせいか飲むスペースが速まっている。
「実際にね」
「そうなのですね」
「苦いお抹茶がいいですか」
「ええ、飲んだらすっきりするのよ」
 春奈は今度は微笑んで話した。
「ただビタミンがあるだけじゃなくて」
「美味しくてすっきりする」
「それがお抹茶ですか」
「そうなの。だから私好きなの」 
 言いつつ飲んでいく、そして飲み終えた時春奈の顔はすっきりとしていた。気分まですっきりした様に。


第二百九十八話   完


                   2020・9・13
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