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子猫を助けた勇気
第三章

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「こいつどうもな」
「シンナーか何かやってますね」
「酒もやってるか?」
「こいつ何でもしますからね」
 警官は二人いてそれで話をしていた。
「悪事なら」
「ああ、どうにもならない奴だからな」
「それで襲い掛かってきましたね」
「そうみたいだな、動物虐待に公務執行妨害の現行犯だ」
「手下共もしょっぴきましょう」
「同罪だからな、来い」
 警官達は原清だけでなく手下達も連行していった、その後でわかったことだったが。
 原清はヤクザ者とも付き合いがありこの時たまたま覚醒剤を貰って使用していた、そうしてであった。
 これまでの多くの悪事が露見し少年刑務所に送られた、手下達は少年院だった。そして少年刑務所を出たその日に出所祝いで深酒を飲みシンナーもやって過って川に落ちて溺れ死んだがこれは別の話である。
 勇輔と共にいた同級生達は彼等が連行されたのを見て言った。
「連れて行かれたな」
「ああ、お巡りさん達にな」
「どうなるかって思ったけれど」
「何とかなったな」
「十橋が呼んでくれて」
「助かったな」
「すぐに猫を保護しよう」
 勇輔はその同級生達に言った。
「そうしよう」
「ああ、そうだな」
「猫ちゃん助かったしな」
「そうしような」
 彼等も頷いた、そうしてだった。
 猫のところに駆け寄った、すると。
 猫は無事だった、勇輔はその猫を見て言った。
「すぐに病院に連れて行こう」
「ああ、いじめられていたしな」
「すぐに手当てしないとな」
「そうしような」
「今からね」
 こう言って猫を病院に連れて行くと怪我はしていたが。
 命に問題はなく手当の後でだった、勇輔はその猫を家に連れて行って両親に事情を話した。すると両親はそれならうちで飼おうと言い。
 猫は雌だったのでミーヤと名付けられた、白い毛と青い目が奇麗で人懐っこい猫だった。
 ことを聞いた担任は勇輔に笑顔で言った。
「よくやった、お前がしたことがな」
「勇気ですか」
「そうだ、前に向かうことだ」
 そうだというのだ。
「若しお前が何もしなかったらな」
「ミーヤはどうなっていたか」
「あいつのことは先生も聞いている」
 原清のことはというのだ。
「この小学校にいたからな」
「そうだったんですか」
「あの時から最低な奴だった」
 こう勇輔に話した。
「弱いものいじめをしたり人のものを取ったりものを壊したりな」
「子供の頃からですか」
「そんな奴でな」
 それでというのだ。
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