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目が治った猫が得た幸せ
第三章

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「親父もお袋も五匹を気に入ってな」
「それでか」
「ああ、家族全員でな」
「仲良く暮らしてるか」
「もう五匹共な」
 まさにというのだ。
「家のアイドルだよ」
「それはよかったな」
「特にこいつがな」
 丁度傍に来たユキを抱き抱えて言った。
「そうなんだよ」
「その娘がか」
「猫の中で一番大人しくて人懐っこくてな」
 それでというのだ。
「もうな」
「一番人気か」
「そうなってるな、ただな」
「ただ?」
「こいつ物凄い怖がりでな」
 それでというのだ。
「獣医さんとこに連れて行ったらな」
「怖がるんだな」
「ガタガタ震えるんだよ」
「それは困ったな」
「他の子達、ハナもそうだけれどな」
 母猫である彼女もというのだ、見れば花はトラとゴン、ゲンと共に大輔の近くで気持ちよさそうに寝ている。
「ユキは特にな」
「怖がりなんだな」
「そうなんだよ」
「女の子だからか」
「そうかもな、けれど目もな」
「すっかりよくなったな」
「この通りな」
 見れば黄色い奇麗な目である。
「しっかり見えてるさ」
「そのこともよかったな」
「若しな」
 大輔は紀夫にこうも言った。
「俺達があの時あそこにいなかったらな」
「ああ、そうだったらな」
「そう思うとな」
「あの時あの山に行ってよかったな」
「ああ、そしてユキ達に出会えたのは運命だったんだな」
「そうだな、じゃあその運命に感謝して」
「これからもこの子達と一緒にいるな」
 大輔がこう言うとだった。
「ニャ〜〜〜〜」
「ニャンニャン」
 ユキだけでなく他の猫達も大輔のところに来た、そして五匹で彼にじゃれついた。大輔はその彼等を公平に撫でて相手をしつつ紀夫と笑顔で話した。


目が治った猫が得た幸せ   完


                2020・11・20
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