暁 〜小説投稿サイト〜
MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第81話 明日への挑戦1/4
[3/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
を与えられたら自尊心が傷付くだろう。それは何かと不真面目に振る舞う勇美とて例外ではない。
 だが、勇美は誰よりも……とはいかないが、自分を依姫の実力を良く理解しているという自負があるのだ。だから、依姫がそれ位のハンデを背負ってくれないと自分が付け入る隙などない事を理解しているのだった。
 依姫の方も、そのようなハンデがある方が都合が良かった。
 それは、勇美との真剣勝負はより濃厚な試合にしたかったからだ。自分が完全に力を発揮してしまったら勇美を簡単に下してしまい、双方に不満が残ってしまうだろう。
 それこそが、力の低い者が対等に戦え、力の強い者が加減して戦える、弾幕ごっこの醍醐味に繋がるのである。
 そして、依姫はその中で更なる取り決めをしていたのだ。
 それは、完全に魔理沙達との勝負で使用した神降ろしを順番に使用していくというものだった。
 これにより勇美は、より攻略手段を練る余裕が生まれるという訳である。
 だが、ここで依姫は一つ注意事項を示す。
「ただし、『伊豆能売』の力は使わないわ。あれは戦闘用ではなく緊急で使ったものだからね」
「分かりました。要は六回の神降ろしを攻略すればいいという事ですね」
 取り決めの内容を完全に把握した勇美は合点がいったという了承の意を示した。
「口ではいうのは簡単だけど、そう上手くはいくと思っては駄目よ。何せ、神の力を行使する私を相手にするのだから」
「……分かっています」
 依姫の自信溢れる主張に、勇美は反論する事はなかった。確かに自分も神降ろしの力を貸してもらえるのだが、神の力を使いこなす事については依姫の方が一枚も二枚も上手だからである。
 だから勇美は、決しておごる事なく依姫に向かい合っているのだ。
 だが、勇美は奥手になる気もなかった。これが大勝負とはいえ、いつも通り自分の持てる力を発揮するだけだと心に決めているのだった。
「いい心構えね。おごる事も臆する事もなく真っ直ぐに向き合う。その事を忘れてはいけないわ」
「はい」
「では参りましょう」
 この言葉を皮切りに、この真剣勝負の火蓋は落とされたのだ。
 まず動いたのは依姫であった。勇美も自分も相手の出方に合わせて返すのが得意である事は今までの経験でよく知っているのである。
 だから、当然勇美に合わせる事に決めている今の依姫は迷う事なく自分から動き、勇美に対処しやすい状況を作ってあげた訳だ。
 だが、だからといって依姫は手を抜くという事はしなかったし、『最初の』神降ろしが物が物だったのだ。
「『火雷神』よ! 八柱の兄弟を従え、その力を勇美の前に示せ!」
 そして、依姫のすぐ側に火雷神が今まで幾度となく見た獄炎の八首龍となって顕現したのだ。触れた者を問答無用で消し炭にせんばかりに轟々と燃え盛っている。
「うわあ……
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ