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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第79話 あの人からのお招き2/3
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人はこちらに」
 そう紫に勧められて、二人は用意された各々の席へと座るのだった。
 その夕食の席は、昔懐かしいちゃぶ台であった。洋式のテーブルで食事をする機会の多い勇美はその中々巡り合わない経験に感銘を受ける。
「いいですね〜、こういう懐かしい食卓って、これぞ日本って感じで」
「気に入ってもらえて光栄ですわ」
 そう勇美に褒められる紫の方としても満更ではない様子である。
 勇美はそう紫と話す中で、ある事に気付いた。
 そう、他でもない。紫と藍の家族同然の存在である橙もそこにはいたのだから。
 故に、勇美は彼女にも挨拶をしておかなければならないと考える。
「橙ちゃん、こんばんわ。永遠亭での会の時以来だね」
「あ、勇美さんこんばんわ。豊姫さんもゆっくりしていって下さいね」
「あら、私の名前を知ってるなんて感心ね」
 そう橙に軽い感じで返した豊姫だが、その内心では本当に感銘を受けていたのである。
 それは、紫と自分とでは侵略をする側と阻止する側であったからだ。それ故に二人の間では因縁があるのである。
 それだというのに、紫は豊姫の事を橙に話していたようだった。しかも、今の橙の態度から察するに、悪いイメージは吹き込んでいないようだ。その事に豊姫は密かに嬉しさを感じるのだった。
「それでは、みんな集まったようね」
 そう豊姫が思っている中で、今回の主催者といえる紫が話を切り出し始めたのである。そして、この場には次に紫が言うだろう言葉を否定する者はいないのだった。
「では、まどろっこしい事はなしにしましょう。さあ、夕食をみんなで頂きましょうね」
 その紫の言葉の後に皆がいう言葉は決まっていた。
「いただきます!」
 こうして食事の前のしきたりを皆は果たし、お待ちかねの食事の時間となったのだった。
 夕食の献立の内容は、素朴ながらも安っぽさのない、堅実なものであった。
 お吸い物、アジフライ、肉じゃが、どれもシンプルであるが充実したラインナップであった。だが、勇美が一番気に入ったのは他にあったのだ。
「紫さん、みんな美味しいですが、このご飯が一番美味しいですよ」
 そう勇美が指すのは、紫色の物で味付けされたご飯なのであった。しその香りと程よい酸っぱさが癖になる一品である。
「それは良かったわ。そのご飯はゆかりごはんよ。私が紫だからね」
「とても美味しいですよ、紫さん」
「……」
 ツッコんで貰えなかった。この子、天然か、それともやり手なのか、そう紫は複雑な心境となった。
 と、紫が微妙な空気になりそうな所を助け舟と呼べるのか分からないが、藍が言葉を掛けて来た。
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