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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第74話 高みへの挑戦:3/3
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 勇美と紫の弾幕ごっこの勝負の行方は鮮烈を極めていった。その中で紫を追い詰めたかに見えた勇美であるが、攻撃を紫お得意の境界の力でかわされて逆に窮地に陥ろうとしていた。
「あっ!」
 そう声をあげて防御態勢を取ろうとした勇美であったが、それは叶わなかったのである。──何故ならブラックカイザーは紫へと斬り掛かって勇美から距離を取っている状態だったからだ。
「やばっ……」
 そう勇美が言い終わるより前に紫の攻撃は彼女に到達する事となった。そして、彼女が放った紫色の弾丸は勇美に直撃……はしなかった。
「何ですって?」
 当然紫はその光景に驚くしかなかったのである。完全に背後を付き、かつ得意の分身が側から離れている勇美が反応するとは予想外なのであった。
 勇美は見事に紫の放った弾丸をその身でひらりとかわして見せたのである。
 驚く紫に対して、勇美はしたり顔で言った。
「私が戦えるのはマッくんと神様だけのお陰じゃないんだからね〜」
 言って勇美は背後の紫目掛けて、星の銃の引き金を引いたのであった。
「!」
 咄嗟の事で、さすがの紫も反応が出来なかったようだ。隙間を閉じて回避する対処が間に合わなかったのだった。
「くぅっ……」
 勇美の放った星の弾丸をその身に浴びた紫は苦痛に顔を歪めながら呻いた。
 そして、彼女は咄嗟に隙間から這い出ると、宙を浮きながら素早く体制を整え直す。
「やりますね……」
「いえ、私自身も驚いていますよ。こうもすんなりと自分の力で攻撃をかわせたなんて」
 悔しそうにする紫に対して、勇美は自惚れずに地に足を付けながらそう言った。
 そう、勇美自身自分の成長に驚きを見せていたのだった。そして彼女は様々な事柄に感謝する。
 自分を見出してくれた依姫に、そして自分と向かい合ってくれた幻想郷に。それがあったからこそ今の自分があるのだと、その事を忘れてはいけないと再度勇美は自分に念を押すのだった。
 勇美がそう思っていると、紫は勇美と十分に距離を取りながらこう言った。
「もうあなたはちっぽけな人間とは私は絶対に思いませんわ」
「それは光栄です」
 勇美はそう、紫程の人物に認められた事を誇りに思いながらそう返した。そんな勇美に紫は最後の確認をするかのようにこう言った。
「あなた程の存在なら、このスペルを使う価値がありますわね。受けてくれますか?」
「……はい」
 意味深な紫の言葉に一瞬勇美は迷うが、その言葉から彼女の強い意志が伝わってきたのだ。だから、勇美はその紫の想いを無碍にしてはいけない、そう思い答えを導き出したのだった。
「いい心構えですね……では!」
 そう言った後、紫の雰囲気は素人目にも分かる程にはっきりと変化するのが感じ取れた。
 一体何が起こるのか、勇美はごくりと唾を飲みながら何が起こって
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