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レーヴァティン
第百七十九話 渡河その六

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「使者を送ってな」
「そのうえでだな」
「降る様に言うな」
「そしてだな」
「降ったらな」
 それならというのだ。
「いいさ」
「そうだな」
「降らなかっただよ」
「戦だな」
「その時にな」
 まさにというのだ。
「そうするな」
「ではだな」
「ああ、今から使者を送るな」
「では私が行くわ」 
 清音が笑って言ってきた。
「使者にね」
「お前がかよ」
「ええ、そしてね」 
 そのうえでというのだ。
「降すよ。実は私この街には馴染みがあるのよ」
「そうだったんだな」
「暫く一人で旅していた時にね」
 この世界に来たばかりの頃にというのだ。
「この街に暫くして歌で稼いでいたのよ」
「それで知ってるんだな」
「旅のバードとしてね」
 この立場でというのだ。
「そうしていたのよ」
「だからか」
「ええ、それで領主さんとも知り合いでね」
「知ってる相手だから」
「会ってね」
 容易にそれが出来てというのだ。
「それでお話が出来るから」
「そうか、じゃあな」
「任せてね」
「そうさせてもらうな」
「そういうことで行って来るわね」
 清音は笑って言った、そうして一人で街に入ってその夜に久志達のところに戻って言ってきたのだった。
「時間がかかって悪かったわね」
「ああ、けれどだよな」
「時間がかかっただけあってね」
 清音は久志に笑って答えた。
「無事にね」
「降ったんだな」
「そうなったわ」
 こう答えたのだった。
「無血開城よ」
「それじゃあそのまま街は使えるな」
「拠点としてね」
「それは何よりね、ただね」
「ただ?」
「出した条件はね」
「ああ、これまでの領地と地位の保証だよな」
「それにね」
 それに加えてというのだ。
「お金もね」
「出したんだな」
「それで揉めてね」
「金のことでか」
「ここの領主さんは善政を敷いて民のことを第一に考えてるけれど」
「金には汚いんだな」
「結構がめつくてね」
 それでというのだ。
「降るのはいい、民も傷付かない」
「そっちは快諾だったんだな」
「けれどね」
「金のことでか」
「沢山欲しいって言って」
「それで揉めたんだな」
「ええ、結構な額になったけれど」
 それでもというのだ。
「いいわね」
「どうせ個人に払う金だろ」
「ええ、千万ゴールドよ」
「高いけれどな」
 確かに高額だが、というのだ。
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