暁 〜小説投稿サイト〜
俺様勇者と武闘家日記
第1部
アッサラーム〜イシス
次の目的地
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「うう〜ん、もうお腹いっぱい……。入んない……」
「おいボケ女、起きろ。これから今後の予定について話し合うぞ」
 久々に美味しい料理を満腹になるまで堪能した私は、そのまま酒場のテーブルに突っ伏して眠りこけそうになったところを、ユウリの一声で起こされた。
 同じようにお腹が満たされてうとうとしているナギとシーラを揺り起こし、自分も頬を叩いて意識をはっきりさせる。
「なんだよ、今日くらい旅のことなんか忘れて、ゆっくりしようぜ」
 ナギが恨みがましそうにユウリを見る。
「そう言うわけにもいかない。これから俺たちが向かう場所がもうじき封鎖してしまうおそれがある」
「封鎖?」
 突如出てきた物騒な単語に、私は首を傾げた。
「そもそもこれから私たちはどこに行くの?」
 私が聞くと、ユウリはどこからともなく世界地図をテーブルの上に広げて、ある場所を指差した。
「この先魔王の城に向かうためには、どうしても船が必要だ。ここを見てみろ」
 そこは、今いるイシスより南、山岳地帯に囲まれた場所だった。
「ここが俺たちの旅の最終目的地、つまり魔王の城だ」
 その瞬間、ユウリを除く全員が息を呑んだ。改めて魔王の城に行くということを認識し、現実に引き戻された気がしたからだ。
 一方地図から目を離さないユウリは、眉間に皺を寄せながら指をトントンと叩く。
「だが山々に囲まれて、陸地からでは到底たどり着けそうにない。そうなると、残る手段はただ一つ。大陸を迂回して船で向かうしかない」
「えー?! 船なんて持ってないよ?」
 私は思わず大声をあげた。
「アホか。むしろお前みたいな田舎女が持ってたら世の中の全てを疑うぞ。船ならお前の弟が言ってただろ」
「そこまで言わなくても……。じゃなくて、ルカが言ってたこと? ……あ、そっか、ポルトガか!」
 私はぽんと手を叩く。
「造船業が盛んなポルトガなら、個人に貸すくらいの船ならあるだろ。だが、そこに行くには急がなきゃならない」
「そういやあのとき、船が出航できないとか言ってたよな。なんか関係あるのか?」
 ナギが皿に盛られたフルーツを口にいれながら尋ねる。
「ああ。さっきここの酒場で耳にしたんだが、ポルトガは最近他国に対して輸入規制をかけたらしい」
「輸入規制?」
「詳しくは知らないが、当面の間全面的に他国からの輸入を禁止して、自国のみで経済を回そうと考えてるようだ。早ければ数日のうちに関所を封鎖するらしい」
 関所というのはおそらく、私がアリアハンに行くときに通ったロマリアの関所のことだ。確かそこがポルトガに行ける唯一の通り道だった気がする。
「……まあ、ポルトガにとっても他国からの信頼を失いかねない政策ではあるし、違和感は少し感じるけどな」
 う〜ん、よくわからないけど、他にも理
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ