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最弱能力者の英雄譚 〜二丁拳銃使いのFランカー〜
第二十一話
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戦いは前時代の戦いとは決定的な違いがあった。

 奴が持っているのは確かにアサルトライフルとリボルバーだ。
 しかし、とある特殊な能力者が使うとこのようになる。

 その一瞬。

 三時の方向にリズミカルな銃声、同時に薬莢がコンクリートの地面に落ちる音。
 それと同時に、右手に凄まじい激痛が襲った。

 そして、俺の能力が発動して、その手に付いた血と切れた頬は再生する。

 とある弾がコンクリートを突き抜けて俺の腕を貫通したのだ。
 すぐさま、二発、三発と、遮蔽物に身を隠しているにも関わらず当たる。

 肘に当たった一発はそのまま腕を貫通して飛んで行った。
 そして、肩に当たった二発は骨へと直撃したのか、その部位は貫通していない。
 奴の指がトリガーが離れたと感づき、次の障害物へと身を隠す。


 ――――どういうことだ?

 0.5秒ほど考えてやっと気づいた。
 奴は”能力者”だということに。


 この厚さ一メートルもある、コンクリート製の遮蔽物を貫通するほどの威力。


 対物ライフルによる射撃。
 ではなく、念物強化能力による、銃弾の強化。

 またも能力者の戦いでは、その意味を持たない遮蔽物だ。

 物に頼っていたしょうもない思考を片付け、こちらから仕掛けることを考える。

 銃弾が貫通した穴を右目で、奴の隠れていると思われる柱を覗く。
 奴はこちらを待ち構えるかのように堂々と立っていた。

「僕はあなたと同じ遭遇でした。僕の能力は物の強度を上げることしかできない。ですがあなたは違う。無能力でここまで這い上がってきた。それがあなただ」

 そしてこうも。

「僕のような人間がもう一人ここにいたなんて!! さらには誰よりもあなたは戦える。ですが僕はそんなあなたを越えます」

 何を言っているんだ。俺は俺だけで、お前はお前だけだ。
 確かに、生きていれば誰かに会い、その誰かに感じるシンパシーという物はある。
 だが、水と油が交わらないように、人間もまた、同じではない。
 俺は誰かの助けでここに立っている。
 自力で上がってきたお前とは違うんだ。

 だけどな、俺を期待している人のため、自身の目標のため、俺は突き進む。
 それが俺だ。

「いつまで隠れているんですかタスクさん!! 僕はあなたを倒し、越えてみせます」

 コンクリートの遮蔽物の後方から聞こえるのは、明確な答えと宣言である。
 俺の左肩を抱えながら荒く息を吐く、肩は使い物がならないほどにダメージを負っていた。
 肩と腕をつなぐ関節に、盲管銃創のダメージがあるからだ。
 再生しようにも、体内に弾が入っていては、その効果は、無に等しい。
 コンクリートを突き抜けることはできるが
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