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最弱能力者の英雄譚 〜二丁拳銃使いのFランカー〜
第十五話
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彼女は、乳袋を上へと押し上げるように、腕をまくる。
 確信があるとその声からわかる。
 頼りになるような言いぐさに、かっこいいとさえ思ってしまった。

「そうですか…… 先生、深入りはあまりしないでくださいね]

 ゆっくりと彼女に告げる。
 多分勇敢な彼女はどんなに危ない橋でも突っ切って行くのだろうと思ったからだ。
 そんな彼女は好きだ。だけどこれは俺だけの問題なのだと直感でわかった。
 だから彼女には俺を見守ってほしいと思った。
 俺が俺であるために、やらなきゃいけない。
 ただそう思った。

 俺は、最年長でここESP学園に来て、能力が使えない無能力者と言われてきた。
 そんな俺に、いまさら裏が無いなんてことはないと今になってわかる。
 もしかして、今年になってランクに出られたのも仕組まれたことなんだろうか。
 そんなことはどうでもいい。

「ああぁ…… わかっている。わかっているさ」

「……。 僕はこれでもここにいることが幸せだなって思ってるんです」

 周りに貶され、見下され、蔑まれても、『強くあること』を剣先生に教えられた。
 そして、自身が掴みたいと願ったことを掴む姿勢を、マイに教えてもらった。
 他人といる幸せをユウに教えてもらった。

 俺は幸せ者だ。それが仕組まれたものだったとしても、裏に何があろうとしても。
 こんな日常が大好きだ。

「ランク祭に勝って俺はやり遂げますよ」

 決め顔とも言わないが、彼女に笑顔と立てた親指を向ける。

「そうかお前は本当に頼もしくなったな。しかし残念…… お前はランク祭には敗退ということになっている」

 そんな俺を見て、にやりと口元を上げると、しまったと何か失態をしている顔に変わった。

「え!? ど、どういうことですか!?」

 過剰な反応と言えるほど、水面から跳ねるトビウオのようにベットから飛び上がった。
 確かに俺は、奴の脳天に弾を打つのを見届けたはずだ……

「お前の転倒と盾田の起き上がりが同時でな。そして俺の出血多量による戦闘継続不可と判断だと言っていた。だが……」

「ええええええええええええええええええええええ」

 彼女の発した言葉の端を切るように、絶叫する。
 深夜だったとしても、俺はその真実に叫ばずにはいられなかった。
 俺の根性なし! もっと戦えたはずだぞ!!

「敗者復活戦が…… あるっ!!」

 そのとき、ピラリと俺の中で衝撃が起こった。
 それはニュータイプが何かを感知したようなSEでもあった。

「な、なんだってえええええええええええええええええええええええ」

 発狂に発狂。上げて落とすという彼女のコミュ力に踊らされる俺。
 病棟にいるピエロ。それが俺だ
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